現役美容部員のBAパンダさんが、幼なじみのマンガ家吉川景都さんにメイクを教える『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』。「メイクをこんなふうに、友達に教えてほしかった!」「まさに求めていた本!」と読者から圧倒的な共感を獲得、テレビ、ラジオ、SNSなどで話題の美容マンガです。
今回のテーマは、「アイプチ卒業メイク」。一重がコンプレックスで、10代の頃からアイプチを続けているものの、30代になり、そろそろナチュラルなメイクに挑戦したい気持ちが強くなってきました。とはいえ、ずっとアイプチに慣れている人が、二重を諦め、一重メイクに挑戦するのは勇気がいるもの。どうしたら、一重ならではのメイクを楽しめるようになるでしょうか? そんなライターのリアルな悩みを、BAパンダさんに直接相談し、解決してもらうことにしました。大人っぽくて艶やかな、BAパンダさん考案の一重メイク、驚きの技術が満載です!(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)
10代からの一重コンプレックス、「アイプチ」以外で解消する手段は?
──今日は、パンダさんに実際にメイクをしていただけるということで、すごくすごく楽しみにしていました! 今回は、「アイプチ卒業メイク」を教えていただけたらと思います。
BAパンダ:はい、よろしくお願いします!「アイプチ卒業」というと、一重メイクですかね。まずは、お悩みを詳しくお聞きできますか?
──はい。私、もともと一重がコンプレックスで、10代のころからアイプチをするのが習慣になっているんです。
BAパンダ:ふむふむ。
──きれいな二重の線をつくれるように練習もたくさんしたし、いまのメイクが嫌なわけじゃないんですけど、最近30歳になったので、そろそろ大人っぽい、一重を活かしたメイクにも挑戦してみたいなあ、と思って。
BAパンダ:なるほど。一重メイクって、むずかしいと思われがちなんですけど、ポイントをおさえれば、すごく洗練された雰囲気になるんですよ。
──ぜひ、やってみたいです! 最近は、韓国の女優さんでも、すっとした、どこか妖艶な雰囲気の一重美人さん、多いですよね。
BAパンダ:そうですね。今日は、とっておきの一重メイクを考えてきたので、チャレンジしましょう!
──楽しみです! ちなみに、正直なところ、アイプチって、プロの目から見ると、どうなんでしょうか?
BAパンダ:やっぱり、皮膚に負担がかかってしまうので、あまりおすすめはできないですね。まぶたが伸びてしまったり、毎日のりをつけ続けることで、のりアレルギーを発症してしまうこともあります。あとは、いざ二重に整形したい、と思ったときに、皮膚が伸びすぎてしまって、思うような二重に手術できない、というケースも。
デカ目信仰をやめてみよう
──なるほど……! とはいえ、私もそうなんですけど、ずっとアイプチしていた人が、一重メイクデビューするのって、結構、勇気がいると思うんです。どんなことから意識を変えたらいいでしょうか?
BAパンダ:やっぱり、「デカ目信仰」をやめること、ですかね。
──デカ目信仰。『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』にも書かれてましたよね。
BAパンダ:ええ。私や吉川さんも含め、いまの30代、40代のなかには、「アイメイク=目を大きく見せるもの」というマインドが根付いている人も多いと思います。
──私もそうです。
BAパンダ:それって、仕方ないんですよね。私たちがメイクを学び始めた10代、20代のころは、浜崎あゆみさんのような「デカ目メイク」が大流行していたから。いまでもそのときの感覚でメイクをしている人は、すごく多いと思います。
──『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』には、「メイクがなんとなく古い」はデカ目信仰をやめると解決する、と書かれていて、びっくりしました。私が今回、一重メイクデビューしてみたいなと思えたのも、その言葉のおかげです。
BAパンダ:今は、多様な美しさがある時代ですから、私は、「二重に見せるメイク」にこだわらなくていいと思っています。一重ならではのかわいさ、ドラマチックさを活かす方向でメイクした方が、ずっと楽しいと思う。
ほりを深く見せる、自由に色を楽しむ、目を潤ませる……。目的によって、私たちはいろいろな目に変身することができるし、好きな色を、好きなだけ楽しめる。
一重には一重の、奥二重には奥二重の、二重には二重の魅力があります。この「多様である」ことこそが、「今っぽさ」に繋がるんです。だから、「デカ目じゃなきゃダメ」という考えを、まずは払拭しましょう!
ドラマチックな一重メイク「3つのポイント」
──では、いよいよ、すっぴんからよろしくお願いします。ドキドキします! 今回のポイントは何でしょうか?
BAパンダ:私が一重メイクでおすすめしたいのは、「上ではなく横」に広げること。
──上ではなく横?
BAパンダ:「目を大きく」しようと思うと、目の「縦幅」を強調するメイクになりがちですが、一重はむしろ、「横幅」を強調した方が魅力的に見えます。
具体的には、
①アイシャドウは、上まぶたより下まぶたに目立つ色をのせる
②下まぶたのアイラインを真横に引く
③上のアイラインと、下のアイラインのあいだに、隙間を空ける
この3つを意識するといいですよ!
──なるほど。上も下も強調じゃなくて、目の下にフォーカスすればいいのか。
BAパンダ:実際にやってみると、こんな感じです。
今回は、大人っぽくオリエンタルな雰囲気を出したいな、と思ったので、ボルドー系の色味で全部まとめてみました。
ボルドーのアイラインで、下まぶたに線を引きます。
──本当に真横に引くんですね!
BAパンダ:こうすると、横の長さが強調されて、横顔もきれいに見えるんです。
──横顔がすごくミステリアスに見えるというか、雰囲気が全然違いますね! うれしい!
吉川景都:すごい! なんか、中国の女優さんみたいだね。最初、下まぶたに赤いアイラインをガッと引き出したとき、どうしようと思ったけど(笑)。でも、完成すると、すごくきれい! どうしてこんなに自然になるんですか?
BAパンダ:そうだよね、これだけ見たらびっくりするよね(笑)。やっぱり、上まぶたに引いたアイラインと、下まぶたに引いたアイラインのあいだに、隙間を空けることかな。
──上のアイラインと下のアイライン、普通は目尻でつなげるけど、今回はつながってない。
BAパンダ:ここに隙間があることで、抜け感が出るんです。つなげてしまうと、やりすぎ感が出るので、ここを空けるのがすごく大事。
あとは、このメイクは本当に、一重だからこそ似合うメイク。一重は、派手な色、おしゃれな色をのせても受け止めてくれるので、ドラマチックで洗練された女性を演出しやすいんです。
今回は、オリエンタルな雰囲気が似合いそうだったので、アイシャドウもアイラインも、全部ボルドー系でまとめましたが、普段使いなら、ブラウンやカーキでまとめるのもいいと思いますよ!
ベースメイクでメリハリをつければ、一重の魅力がさらに際立つ
──あと、もう一つ、Beforeの写真と比較して、すごく驚いたことが。もともとすごく丸顔だったのに、急にシャープになりましたよね? 一重メイクの方が、めちゃくちゃ小顔に見える気がします! パンダさん、どんな魔法を使ったんですか!?
BAパンダ:ベースメイクのときに、塗る場所によって、ファンデーションを変えてるんです。目の周り、中心部には明るい色、フェイスラインには暗い色のファンデーションを塗っています。
──だから、自然なのに立体的に見えるんですね。シェーディングとはまた違う方法なのでしょうか?
BAパンダ:光が当たるところを明るくすれば、他が暗く見えるので、シェーディング効果を狙うことができるんです。コントロールするのは、「影」より「光」の方が簡単なんです。だから、私はメイク初心者の方には、「光」の方を優先して教えるようにしています。
──「影」より「光」の方が簡単。そうなんですか!
BAパンダ:そうそう。シェーディングって、加減がむずかしいし、失敗したときに、全体のバランスが崩れちゃうんですよ。つけすぎちゃうと、こけて見えたり、横から見た時に不自然さが残ったり。
正面から見たらいいけど、横から見たら、影が濃く入りすぎて、汚れみたいに見えちゃったり……ということもありますね。
──そうか、ハイライトとか、「光」だったら、明るく見せたいところに上から重ねるだけだから、そんなに技術がいらないんですね。
BAパンダ:そうなんです。なので、顔にメリハリをつけたい場合、メイク初心者の方は、まずハイライトから練習するといいかも。
シェーディングをやりたいなら、今回私がやったみたいに、暗いファンデーションを顔まわりに塗る、というところからチャレンジするのがいいと思いますよ!
──これまで一重にあまり自信が持てませんでしたが、艶やかなメイク方法を教えていただき、もっと挑戦してみたい! と思うようになりました。アイメイクだけでなく、ベースメイクをしっかり作り込み、メリハリをつけることで、より一重の魅力を際立たせる、というのも目からウロコでした!
完全に一重コンプレックスを払拭するにはまだ時間はかかりそうですが、今回、BAパンダさんのメイクと『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』をきっかけに、アイプチメイクと一重メイク、どちらも楽しめる自分になりそうな予感がします。
大手化粧品会社の現役美容部員
BA歴10年、現在2社目。これまで接客してきたお客様はのべ1万人以上。お客様の「なりたい自分」に合わせて商品や使い方を提案するように心がけている。吉川景都とは小学校時代の幼なじみで、30年来の友人。
吉川景都(よしかわ・けいと)
マンガ家
2003年少女誌『LaLa』(白泉社)でデビュー。著書に『片桐くん家に猫がいる』『子育てビフォーアフター』(新潮社)、『鬼を飼う』『こまったやつら』(少年画報社)などがある。メイクは好きだが、キラキラ美容部員さんのいるコスメカウンターは怖かった。アラフォーになり、「顔面迷子」状態の日々。
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