「今は昔に比べて暖房機器が発達し、建物の気密性も高くなっているので、屋内はとても暖かいですよね。その影響で、建物の中と外との寒暖差はどんどん激しくなっています。遺伝的要因でしもやけになりやすい人もいますが、それだけでなく、現代の生活様式も“しもやけ”を発症しやすい環境になっていると言えるのかもしれません」
加えて、近年のコロナ禍も、“こまめな手洗い”が推奨されているため、指先の冷えを助長している、と野村氏。さまざまな要因が絡み合い、大人の隠れしもやけにつながっているのだ。
「しもやけの初期症状は、手や足の指先の痛がゆさと指の腫れ。5本の指のうち1、2本が腫れて、指輪のサイズが3サイズアップしたという人もいます。また、湯船に浸かったときや布団に入ったときなど、体が温まると指先がムズムズするのも、しもやけのサイン。さらに症状が進行すると、腫れた部分が赤紫色になり、じくじくと皮膚が崩れてしまうこともあります」
就寝時に痛がゆさを感じると寝付きが悪くなり、日中のパフォーマンスを下げることも。しもやけは生活の質にも影響を及ぼすのだ。
しもやけを患っている人のなかには、足のかゆみを「水虫」と勘違いしたまま、野村氏の元に来るケースもあるそう。
「じつは、冬に水虫を発症するのはかなりまれで、基本的には夏の疾患です。また、水虫の症状が現れるのは指と指の間なので、指先がかゆくなるしもやけとは症状が異なるんです。水虫だと思って来院して“しもやけ”という診断結果を聞くと、『大人も、しもやけになるんだ』と驚く患者さんは多いですね」
まずは「大人はしもやけにならない」という先入観を捨てるのが、隠れしもやけ治療の第一歩となるようだ。