終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差はいったい何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんなビジネスパーソンの悩みを本質的に解決してくれるのが大注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。
本書 の発売を記念し、ビジネスパーソン「あるある」全20の悩みをぶつける特別企画がスタート。経営の最前線で20年以上、成果を上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた木下社長にロングインタビューを実施。第13回目は、「指示待ち部下の対処法」について、教えてもらった。(構成・川代紗生)

【NG】「指示待ち社員」に絶対やってはいけないこと

「言われたことしかやらない人」2つのタイプ

──言われたことしかやってくれない「指示待ち社員」の取り扱いに困っている。そんな管理職の悩みをよく聞きます。どうすればいいでしょうか?

木下勝寿(以下、木下):「言われたことしかやらない人」は2つのタイプに分かれると思っています。

 1つは、「言われたことしかやりたくないタイプ」。

 もう1つは、「何をやっていいかわからないから、言われたことしかできないタイプ」。

 まずは、その社員がどちらに当てはまるのか、見極められるといいですね。

──タイプによって対処法も変わりますか?

木下:変わります。

 まず、前者の「言われたことしかやりたくないタイプ」の人は「指示されたことをやるのが仕事」という明確な主義を持っている人ですから、仕事の仕方を変えてもらうより、その人に合った環境で働いてもらうのが一番です。

 上司が毎回、「今日はこれをやってください」と指示を出さなければならない仕事ではなく、出勤したら自動的に仕事が回ってくる、ある程度、ルーティンが決まっている部署です。

 こういうタイプは、やることが決まってさえいれば淡々と着実にこなしてくれますから、その人に合う環境に配置換えすれば、いい戦力になってくれると思います。

「何をやっていいかわからない人」の強みを引き出す方法

──「何をやっていいかわからないから、言われたことしかできないタイプ」に関してはどうでしょうか。

木下:このタイプは、「自分で考えて自主的に動ける人」のそばで働いてもらうといいでしょう。

 仕事への意欲はあっても、動き方がわからない。下手に動いて迷惑をかけたら申し訳ない。そう思って、自ら動けない人もいるはずです。

 あるいは過去に、自主的に動いて失敗したり、猛烈に怒られたりした経験があるのかもしれません。

 そういう人には、何をやればいいのか、「自ら学べる環境」を用意してあげられるといいでしょう。

──自ら学べる環境とは、どういうことでしょうか?

木下:「こういうときは、こうしたらいいよ」と上司に毎回教えてもらうのではなく、「こういうときは、こうしたらいいんだ!」と自分で気づきを得られる環境が大事です。

「自分で考えて自主的に動ける人」のそばで働いていれば、「仕事がないときはこうやって探したらいいんだ」と、先回りして動く方法がわかる。

 たとえば、新人営業マンは、上司に顧客リストを渡され、「片っ端から電話をかけて、アポ取って」と指示されたら、その通りにできるかもしれませんが、ひと通り電話をかけ終えた後、具体的に何をすればいいか想像できません。

 次のリストを自分でつくってもいいのか、それとも、上司の指示を待つべきなのか。

──もしかしたら、優先すべき顧客リストがどこかにあるのかもしれない。

 でも、上司は忙しそうで話しかけられない……となると、結局、指示待ちを続けることになってしまいますね。

木下:そういうとき、自分でどんどん動きながら営業している先輩がそばにいれば、「次はこのデータを使えばいいのか」「こうすればもっと成績を上げられるのか」とわかります。

「指示待ち社員」に絶対にやってはいけないこと

──部下にやる気を出させるために、大きな仕事を任せる人もいると思いますが、それはどうでしょう?

木下:実力以上の仕事を任せることで成長するのは、やる気がプラス状態の人のみであって、やる気が0やマイナスの状態の人にまかせると「潰れる」か「逃げる」かのどちらかになります。なのでやめたほうがいいですね。

──そういう荒療治的な方法を試している管理職も多いと思ったのですが。

木下:基本的に、他人は変えられないという前提で動くべきです。

 その人の最適のタイミングで、その人自身が「変わりたい」と思わないと絶対に変わらない。

 だから管理職の都合で、当事者意識を持たなければいけない状況に部下を追い詰めるのは絶対NG。その社員の行先は「潰れる」か「逃げる」かのどちらかです。

 思うように動いてくれない社員を無理やり変えようとするより、「仕事の管理」に注力するほうが、マネジメントはうまくいくと思います。

(本稿は、『時間最短化、成果最大化の法則』に掲載されたものをベースに、本には掲載できなかったノウハウを著者インタビューをもとに再構成したものです)