ゼロコロナ政策終了と春節による懸念
中国株式が上昇する背景には、何といってもゼロコロナ政策の終了がある。中国国内外で人の移動が急速に活発化するとの期待は高まっている。一つの要因として、2月6日から共産党政権は海外団体旅行を解禁した。3年ぶりの解禁だ。それによって、世界的に中国からの観光客が増加するとの期待が高まっている。
アジア新興国の通貨市場では、中国人観光客への期待を背景に、タイ・バーツの上昇が鮮明となった。同じことはニュージーランド・ドルなどの通貨にも当てはまる。なお、中国大陸からの旅客を対象に水際対策を強化したわが国、米国、および韓国は海外団体旅行の解禁対象国に含まれない。
それに加えて、中国共産党政権による経済対策への期待も大きい。その一つとして、不動産業界を対象とした融資規制である「3つのレッドライン」の緩和は大きい。20年8月に3つのレッドラインが導入されて以降、中国恒大集団(エバーグランデ)などの大手デベロッパーは債務圧縮を優先しなければならなくなり、資産の切り売りは加速した。
その結果、住宅価格は下落し、地方政府の財政悪化懸念も高まった。未完成のまま放置されるマンションなどは急増した。住宅ローンの支払いを拒否する購入者は増え、河南省鄭州市などでは抗議活動も激化した。
が、ここにきてそうした状況が好転するとの期待が急速に増えているようだ。追加的なインフラ投資の積み増しなど、経済対策のさらなる強化を期待する投資家も多い。
また、株価上昇を見る限り、依然として世界的に投資資金はだぶつき気味とみられる。FRBやECB関係者が、「今後の利上げ幅を縮小することが適切になりつつある」との見解を示すと、「利下げが近い」と都合よく解釈する投資家は多い。そうした事情も重なって中国の政策期待などは一段と高まりやすくなっている。短期的に中国関連の資産の価格が追加的に上昇する可能性はある。