「現場に溶けよ」
DXと情報システム部門
DXを語るとき、しばしば情報システム部門がどのように関わるかが取り沙汰される。一般的に、旧来の情報システム部門の役割は、経営や事業部門からのシステムの要請に応えること。多くの場合、依頼は自然と降ってくるもので、情報システム部門はその実現手段や工数を考え、期待通り実装することが求められてきた。
今、企業の情報システム部門に期待されるのは、自社のために何をすべきか自ら考え、遂行していくことだ。これまで通り依頼が降ってくるのを待ち続ける情報システム部門と、“DXブーム”を好機と捉え、自ら変革を提案・実行していく、いわば「会社の救世主」となるような情報システム部門との二極化が始まっている。
フジテックでは、広く世間でDXの必要性が叫ばれる以前から「現場に溶けよ」を合言葉に、情報システム部門が現場に入り、内製化やシステムの導入支援を行っている。スマートグラスの導入にあたっては、2015年から情報システム部門にあたるデジタルイノベーション本部テクノロジー研究部の石岡早織さんが中心となり、課題解決に向けたPoC(Proof of Conceptの略。日本語では「概念実証」「コンセプト実証」)や活用トレーニングなどを行ってきた。
「現場に溶けよ」とは、一体どういうことなのか。作業服に安全帯を巻いて現場に入ることもあり、「入社2年目までの研修を一通り受けたので、もし現場で何かあれば保守作業もサポートできます」という石岡さんに話を聞いた。