2時間の作業を
40分に短縮できたケースも
スマートグラスの本格導入から約半年、どのような効果が表れているのだろうか。
一つは、当初の目的通り、生産性の向上だ。
「エレベーターのリニューアル工事で問題になるのは、30年前の図面と現状が違っていたりすることです。ないと思っていたものが、実際に現場に行ってみたらあったということもあります。計測担当者は現場で図面を見られないこともあります。そのため、設計担当者とのコミュニケーションでは、とりあえずたくさん写真を撮って送るとか、現場では計測のみ行って、事務所に帰ってから記録するということをしていました。それが、スマートグラスを介して設計担当者と直接つないで作業できるようになり、時短ができているようです」
ある現場では、2時間見込んでいた作業が40分で終了した。余った時間で、搬入経路をチェックするなど、予定を前倒して作業ができたという。
若手と熟練技術者が連携した
メンテナンス業務も可能に
導入してみて、現場からうれしい報告もあった。
「若手技術者がスマートグラスをかけて安全パトロールをしていたら、映像を見ていた熟練技術者が整備すべき箇所を発見しました。若手技術者が手元を映し、熟練技術者の指示に従って対処することができたんです。経験がないと気付くのが難しい所だったので、皆さんすごく喜んでくれました」
実際の現場では、事前にマニュアル化しにくい事象もある。今回のように、経験を重ねてきたからこそ早期発見できるものもある。そのため、スマートグラス本格導入以降は、現場対応で使いたいという声が増えているのだそうだ。