受かりそうもない学生を卒業させずに、国家試験合格率を底上げする大学の手口を見抜くにはどうしたらよいか。6年間での卒業率を見ればそれは一目瞭然だ。特集『選ばれるクスリ』(全36回)の#11では、文部科学省が2023年1月に公表した最新データを基にダイヤモンド編集部で作成した、全74薬学部「6年間での卒業率ワーストランキング」をお届けする。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
国試合格率底上げの姑息さも表れる
6年間での卒業率ワーストランキング
成績の悪い学生を留年・退学、もしくは卒業試験に落第させ、国家試験を受験させない――。
これは私立大学で国家試験合格率を上げるために、合格が難しそうな学生をふるいにかける有名な“カラクリ”だ。これは医学部や歯学部、もちろん薬学部でも横行しており、大学がホームページや入学案内でうたう国試合格率とその実態との乖離がかねて指摘されていた。
昨年8月に文部科学省が発表した「6年制課程における薬学部教育の質保証に関するとりまとめ」にも「4年次まで進級しているにもかかわらず、総合的な学力不足を理由にその後の年次の留年の割合が高く、標準修業年限内での卒業率が低い大学も存在する」とあり、卒業率の低さを国も問題視しているのは明らかだ。
標準修業年限(在学6年間)での卒業率の低さは単に大学の指導力だけでなく、その実態を前述のカラクリによって覆い隠そうとする姑息な体質の表れでもある。
今回、ダイヤモンド編集部では文科省の最新公表データを基に、全74薬学部における2022年度「2016年度入学者の卒業率ワーストランキング」を作成した。その結果、11薬学部で卒業率が5割未満であることが判明した。