佐藤次期社長は、トヨタでEV化を先行させるレクサスのプレジデントであり、章男氏の想いが強いGRカンパニーのプレジデントでもある。GRの前任者は章男社長の「盟友」である友山茂樹元副社長(現日本事業本部長)であり、章男氏の信任が厚いことから佐藤氏が後継指名されたのだろう。
佐藤次期社長は「EVファーストの発想で事業の在り方を変えていく」とEVでの巻き返しを強調した。25年にも米国でEVの生産を始め、車載電池の工場から基幹部品から車の組み立てまで一貫したEV生産工場とすることを決めた。インドなどでも製造し、26年には世界で年間100万台まで生産を増やす計画を打ち出している。
乗用車から商用車までの幅広い商品バリエーションのCASE対応に加え、トヨタを中心とする日本連合のグループをリードするためにも、佐藤次期トヨタ体制への期待と責任は大きい。その実現のためには、存在感の大きい豊田章男氏が会長としてトヨタ内外でどのような動きを示していくかが重要だ。
また、新体制は、近い将来に章男氏の嫡男、大輔氏(ウーブンシティの事業会社ウーブン・アルファ代表取締役)が本体入りする布石ともなろう。ちなみに、豊田章男氏が私財50億円を投入しているウーブンの持株会社ウーブン・プラネット・ホールディングスは、4月1日から「ウーブン・バイ・トヨタ」とトヨタの名を冠して社名変更する。
4月以降、改めて動向が注目される。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)