1日3時間の勉強時間は
簡単に捻出できる
――大学や学科は、どのように選んだのですか。
シンプルに中室先生の研究室に行きたかったのが一番ですが、いくつか選択肢があるなかで、まず、大学を中退しているので、既卒でなくても受けられるところ、そして、仕事をしながらなので、リモート中心で受講できるところで絞りました。さらに、出願条件で厳しいところ、例えば東大の経済学研究科は、経済学を履修済みという前提で試験を受けなければならず、かつ英語の評点が非常に高いので、現実的ではないと考えて除きました。
どこの研究室で何をやるかがやはり一番大事なので、研究手法と研究テーマという観点で相性が良さそうな先生がいるところを探しました。20~30人くらいに絞って、先生の文献や著作や記事を読んで検討しました。自分のしたいことを研究するには、社会学的なアプローチと経済学的アプローチのうち、いずれがいいのか――僕は、経済学的アプローチを考えていました――解きたいお題と、そこに対してのアプローチ、研究手法や専門分野がマッチするかを見ていきました。
今回はあえて、社会人が多い環境は選ばないようにしました。進学先は学部生も参加できる研究室なので、院生より学部生の方が多く、研究員もいてラボっぽさもあります。MBAなど経営大学院の場合は、自分もすでに経営をやっているし、それを理論として学んだところで、仕事と一緒なので、「そうだね」としか思わないのではないか。仕事で特定分野に詳しくなると、だんだん慣れてつまらなくなる。ずっと同じ場所にいたら飽きてしまうので、リセットしたくなるんですね。だから、経済学の大学院という自分が全く知らなくて一番下の実力からやれるところ、アウェーな場所に行きたかったんです。
――仕事と院の研究は、どんなバランスでやっていかれるのですか。また、これまで入試のための学習時間はどうやって確保されていたのでしょう。
院の授業が始まっても、普段からリモートワークなので、生活はあまり変わらないと思っています。というのも、大学時代は経済学専攻でもなく、統計学も未履修で、英語も完全に忘れていたので、毎日英語や経済学系の基礎も含めて、この1年弱くらい、1日3時間くらい自習していました。その3時間が講義やゼミに置き換わるだけなんです。
時間の確保は意外に簡単で、習慣化してしまえばいい。誰でも1日合計2~3時間は必要のないSNSをしていたり、見たくもないテレビを見ていたり、YouTubeでなんとなくレコメンドされる動画を見てしまったりしているはずなんですよ(笑)。電車などの移動時間もありますよね。その時間に参考書を読み、問題を解き、単語を覚えればいい。僕の具体的なスケジュールで言えば、朝、仕事前の1時間、英文読解をする。お昼休みの半分、30分で英語のシャドーイングをして、夕食後、また1時間経済学や統計の教科書を勉強し、寝る前にベッドサイドの読書として参考書を読む。電車の移動時間では単語を覚えるといった具合です。
大切なのは、1日の学習ノルマのハードルを上げすぎないこと。体調が悪いとか、やる気がないときの最低限のノルマは「1日1ページ」と低くして、とにかく毎日継続すること。この習慣化と、最低限のハードルを低くして継続する。これは勉強でも、筋トレでも、ダイエットでも、続ける際のコツだと思います。