「熱中症お見舞い金保険」や「インフルエンザお見舞い金保険」など、スマートフォンのアプリ内での保険販売とマーケティングで成功しつつあるPayPay保険サービス。注目が集まる同社の兵頭裕社長に、商品開発の背景や将来の見通しについて話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
「PayPayほけん」
ローンチ1年で軌道に
――PayPay(ペイペイ)アプリ内の「PayPayほけん」専用商品として、昨年発売した「熱中症お見舞い金保険」が異例のヒットとなりました。こうしたヒットを予想されていましたか。
当社は2021年12月に今の形で販売を始めましたので、ようやく前年同月比の数値が出るようになったところです。やっと一周回った、という感覚です。
振り返ると、私が前職の日本興亜損害保険(現損害保険ジャパン)からヤフーに入社して、すぐに「Yahoo!保険」の立ち上げに関わりました。そのときに立ち上げたサイトには、契約できる保険商品を並べたり、資料請求が可能な商品を並べたりしていました。
代理店として事業を行っていましたので、ユーザーが当社を経由して保険会社のサイトに行き、そこで契約すれば代理店手数料が入ってきます。ただし、保険商品を並べ、さあどうぞ来てくださいと言っても、そうはうまくいきませんでした。なかなか破壊力は出せませんでしたね。ここで得られたのは「保険はやっぱりデジタルだと難しいよね」という感覚でした。
当初はウェブサイトでの保険販売に苦慮したヤフーだが、その後、決済サービスであるPayPayを使った保険事業でローンチした「熱中症お見舞い金保険」が異例の大ヒット。最近では、医療保険の販売も手掛け、医療保険の未加入者に対しても販路を広げている。その秘訣は何なのか。