「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
もの忘れが多くなる原因
【前回】からの続き ストレスやうつ状態の緩和が望まれるのは、認知症の患者さんだけではありません。
ストレスやうつ状態が長く続くと、健常者でも認知症のリスクは高まります。
ストレスを感じたときに分泌される「コルチゾール」というホルモンの濃度が上昇すると、学習や記憶に関わっている脳の「海馬(かいば)」という部分の機能が低下してしまい、もの忘れが多くなることが報告されています。
免疫力が低下する原因にも
コルチゾールは、免疫力も低下させます。アルツハイマー型認知症では、この海馬が真っ先に萎縮することもわかっています。
また、65歳以上の高齢期にうつ状態があると、認知症リスクが1.9倍になるという報告もあります(Livingston G,et al.Lancet.2017)。
ですから、事情が許すなら、好きなペットを家族の一員として迎えるのもよいでしょう。できれば、犬や猫のように、撫でて互いにオキシトシン(【前回】参照)が分泌できるような動物がよいと思います。
愛犬との散歩で得られる効果
ペットが飼えるかどうか自信が持てない人は、犬や猫などと触れ合えるカフェなどで一度交流してみるとよいでしょう。
また、犬を飼うと基本的には毎日、散歩するようになるでしょう。
愛犬と一緒に散歩することが習慣になれば、運動量が増えてミルキング・アクションが活発になり、散歩中に五感も刺激されるので、脳の活性化につながります。
愛犬と一緒に認知症予防
散歩で知り合った人たちとの交流も、脳活性の一助になります。また、犬にとっても、散歩は認知症の予防につながるそうです。
ヒトに飼われている動物は長生きなので、認知症リスクも高まります。その予防に散歩が有効なのです。
将来的に、AI内蔵でコミュニケーション力が高く、本物そっくりの毛並みを再現した精巧なペット型ロボットが登場したら、認知症患者さんを癒したり、認知症予防に威力を発揮したりするのかもしれません。【次回に続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。