サミット終え支持率上昇、株高で岸田首相はいつ解散に踏み切る?5月21日、広島市のグランドプリンスホテル広島で、G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)の討議に先立ち写真撮影に応じる首相の岸田文雄やウクライナ大統領のゼレンスキーら Photo:JIJI

「G7広島サミット(先進7カ国首脳会議)で被爆地を訪れ、被爆者の声を聞いたG7首脳が核軍備に関する声明を出したことに歴史的な意義を感じる」

 5月21日午後、サミットで議長を務めた首相の岸田文雄は広島の平和記念公園で記者会見に臨んだ。生中継のテレビ画面に映った岸田の背後には、原爆死没者慰霊碑、肩越しに核兵器が廃絶されるまで燃やし続ける「平和の灯」、さらにその奥には原爆ドームが視界に入ってきた。好天に恵まれ、初夏のような陽光を浴びた岸田の額にはうっすらと汗が浮かぶ。岸田の発言には力がこもった。それは地元で開いたサミットを終えた自信の反映にも見えた。

 7年前の2016年5月27日、同じ平和記念公園には日米の首脳が立っていた。首相の安倍晋三と米大統領のバラク・オバマ。オバマは翌年大統領の座を去り、安倍は昨年7月に凶弾でこの世を去った。両首脳がこの場で「核兵器なき世界」を目指して世界に向けてメッセージを発信した際の“案内役”が外相の岸田だった。

 その岸田が7年に1度日本開催となるG7サミットの議長を務めることになり、岸田が決めた開催地が地元広島市。岸田側近は「奇跡だ」と語った。近年はG7サミットそれ自体の影響力が低下し、存在意義が問われてきたが、中ロが常任理事国の国連の機能不全が問われる中で注目を集めるG7サミットとなった。背景にはロシアのウクライナ侵略があった。逆説的には、ロシアの理不尽な侵略がG7の存在意義を再確認させたと言っていい。