先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の開催が5月19日に迫る。主役は地元が広島の首相、岸田文雄だ。ちょうど1年前の5月23日、来日した米大統領バイデンとの日米首脳会談で岸田はサミットの広島開催を表明、バイデンもこれを強く支持して広島サミットが決まった。
バイデンは米大統領として初めて被爆地広島を訪ねたオバマの副大統領。この巡り合わせも大きかった。オバマの広島訪問も、元首相の安倍晋三が議長を務めた2016年の伊勢志摩サミットの機を捉えて実現したものだった。
このときも岸田は外相として当時の駐日米大使、ケネディの協力を得て舞台回しを担った。首脳会談に先立って開かれたG7外相会合は岸田が主導して広島で開催されている。岸田はこの外相会合に出席した米国務長官、ジョン・ケリーらG7外相を平和記念公園内にある原爆資料館に案内した。
このG7外相会合から約1カ月後、日米両政府はオバマの広島訪問を発表。ケリーのホワイトハウスへの進言が決定打になったとされる。同年の5月27日、オバマは黄昏の平和記念公園で感に打たれたように原爆ドームを見上げた。
傍らで説明役を務めたのが岸田だった。このワンショットで岸田はポスト安倍の有力候補に躍り出た。それから満7年。サミットの日本開催の年に岸田が首相の座にいたという巡り合わせは強運と言うほかはないだろう。広島G7は岸田にとって「ご当所相撲」ならぬ「ご当所サミット」といっていいかもしれない。