「課長3.0」になるために
できる2つのこと
――今回の前田鎌利さんの書籍のタイトルは『課長2.0』でした。もし、さらにその先の「課長3.0」の世界を描くとしたら、それはどのようなものでしょうか。
前田 『課長2.0』の中でも少し触れていますが、「課長3.0」はその形はどうであれ、自分の未来像をちゃんと選んで、描いて、そこに向かってアクションを起こせる人のことだと思います。
そのアクションとは、1つは新しいコミュニティに所属すること。そしてもう1つは、自分に足りない知識や経験を自分から獲得しに行くということです。この2つの要素をしっかり押さえてアクションを起こしていける人は、「課長3.0」の世界に踏み出して行けると思います。
その世界へ行くと、「あの人と一緒に仕事したい」とか「あの人みたいになりたい」と思ってもらえるようなすごく魅力的な課長になれます。
池照 『課長2.0』では、会社から与えられた課長という型に対して、自分の個性とか自分らしさをどう出していくか、という方法がたくさん書かれています。さらに「課長3.0」の世界まで行くと、課長という型を自ら作っている感じですね。
前田 生理心理学の基本法則でもある「ヤーキーズ・ドットソンの法則」でも言われていますが、成長のためには新しいコミュニティに入るなどをして、今までのコンフォートゾーンを抜けることが肝になります。
そのコミュニティも今はオンライン時代なので、どこでもすごく入りやすくなりましたよね。今までなら町内会や近所のコミュニティなど、物理的にも限られた選択肢しかありませんでした。しかし今は、無料でいろいろなコミュニティに顔を出すことができる。何となく自分とは合わないなと感じるなら抜ければいいし、楽しかったら残ればいい。時間も選べて、コミュニティの活動に関するアーカイブもあったりする。いくらでも、自分で次の一歩を踏み出すきっかけを見つけられるわけです。
池照 今、たくさんの課長さんや部長さんを対象として、さまざまなプログラムをやらせていただいています。その中ではがゆく感じることがあるんですが、みなさんどうしても「会社」という枠の中で動いてしまうんです。
例えば「あなたは何をしていますか」「あなたは何がしたいですか」と聞いたとくに、「うちの会社は」「うちの部署は」「私たちの業界は」など、自分じゃないものを主語にして答える人が多いんです。私は「あなたは?」っていう話が聞きたいのですが、なかなかそれに答えられる人はいませんね。
先ほどの「課長3.0」のように、「課長として」ではなく「1人の個人として」、自分の世界を作っていく人になれたら、一人ひとりがもっと楽しめるのではないかと思います。もしかしたらこの部分が、「課長3.0」への道のりの大きなポイントかもしれないですね。
これからの時代は、副業でもいいし、プロボノで社会活動に参加してもいい。いろいろな形で自分のコミュニティを広げていけるはずです。仮にずっと一つの会社に勤め続けていたとしても、コミュニティの創出は、実は誰にでもできるんです。
そして、そのコミュニティで、自分の多様な可能性を試すこともできる。さらに会社とは別のコミュニティで見つけた自分の可能性を、自分の仕事や、役割に転換させていくこともできるはずです。