感情を起点に成長できれば
課長という仕事はもっと魅力的になる

池照 私は「感情を職場に持ち込むな」という時代に育ってきました。ですが実際、人が会社や組織の中で、感情を起点にすることで、大きく成長していく姿を何度も目にしています。それなのに、職務要件や等級要件には、感情的な要素が一切入っていません。その事実に、ずっと違和感を感じてきました。

 感情は、確かに評価するのが非常に難しい側面があります。それを可視化したのがEQで、そういうものをうまく使えば、職場にも感情を賢く取り入れることができます。そして、職場で上手に感情を生かすことで、一人ひとりの力がより生きるんだということを、『感情マネジメント』では伝えたいと思っていました。

 『課長2.0』を書いた前田さんと、根柢にある思いは近いように感じています。

前田 僕の書いた『課長2.0』は、管理職向けの本になりますが、最近はみなさん、管理職になりたがりませんよね。しんどいし、責任は押し付けられるし、給与が高いかと言うとそうでもありません。

 じゃあ一つもいいことがないのかと思うかもしれませんが、管理職という役割を担うことで、プラスの側面もたくさんあります。『課長2.0』では、そういう魅力を伝えたいと思いました。

 例えば組織で何か結果を出す場合、ほとんどのケースは管理職がすごい人だから結果が出るのではなく、メンバーが頑張ってくれたから結果が出るわけです。だからこそ、『課長2.0』では課長1人が頑張るのではなく、チームみんなで心地良く頑張ってもらって結果を出すための本です。

 その意味では、池照さんの『感情マネジメント』はまさに、課長がメンバーとどうやって感情のコミュニケーションを取っていけるかが書かれています。「今、あなたはそういう感情なのね」「それを踏まえて、こうやって一緒にやっていこう」というリーダーのアクションの総和が、結果につながるわけです。そのためにはまず、リーダーが自分をどのように表現すればいいのかを知る必要がある。それができるのが『感情マネジメント』です。

 ぜひ僕の書いた『課長2.0』と池照さんの『感情マネジメント』を両方、組み合わせて読んでいただきたいなと思います。

離職率が24%→8%に!?「魅力的なリーダー」になるためにできる2つのこと対談を終えた池照佳代さん(左)と前田鎌利さん(右)