衣料品通販大手ZOZOの元COO(最高執行責任者)で伊藤ハム創業家出身でもある伊藤正裕氏が2021年に立ち上げたエネルギーベンチャーのパワーエックス。伊藤忠商事など数々の大手企業が出資や提携に乗り出している電力業界の風雲児だ。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、特集『EV充電ゴールドラッシュ』の#4『EV充電インフラ市場に元ZOZOの伊藤ハム御曹司が電撃参戦!伊藤忠、東急不と手を組む風雲児の正体』に収載しきれなかった伊藤氏のインタビューをお届けする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
EV充電器ハイパーチャージャーの展開は
「インフラではない、サービスビジネス」
――パワーエックスはEV充電器「ハイパーチャージャー」をまず2023年夏から東京都内を中心に10カ所で設置すると発表しています。もう設置完了しましたか?
若干遅れております。すごくいい体験として出したいので、十分に温めて「よし、いいぞ」というタイミングで始めます。というのもわれわれはインフラビジネスではなく、サービスビジネスだと思っておりますので。
お客様からしたら充電は体験なんです。クルマを所有して走らせる上で、重要な体験の一つ。インフラとして「とりあえずあればいい」とは思っておりません。プレミアムな充電サービスを展開したい。プレミアムな体験を作り終わるまでは、リリースはしません。とはいえ、そう遠くなくローンチします。秋口までには。
次ページでは、特集『EV充電ゴールドラッシュ』に収載しきれなかった伊藤氏のインタビューをお届けする。伊藤氏が異端ともいえるキャリアを選んだ理由に加え、多彩な幹部人材や伊藤忠商事をはじめとする出資者をどのように集めていったかを明らかにする。また、世界で激化する急速充電の規格の覇権争いに対する同社のスタンスも示す。