ワインの世界は
深く広大な森のよう

「最近のお客様は、好みのワインを尋ねるとさまざまな国名や地域名、品種名などが返ってきます。30年前は赤か白かぐらいだったのに隔世の感がありますね」

 この30年で、日本人のワイン消費量は3倍以上伸びている。生産国も、フランス、イタリア、スペイン、ドイツなどの伝統国の他に、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、日本といった新世界のワインが生産量を増やしスーパーで手軽に買えるようになった。いったい何をどう飲めばいいのだろうか。

「ワインの世界は深く広大な森のようなものです。森の木(ワイン)ひとつひとつに名前があります。自分の好みの木(ワイン)を見つけるには、途方もない時間が必要です。途中であきらめて帰ってしまわないように、私はあるアドバイスをしています」

好みのワインを最速で見つけるために、まず覚えたい「6種」とは?左がボルドー用、右がブルゴーニュ用のグラス。グラスの形によって、香りの広がりやワインの口中での流れが微妙に変わる。ボルドーを右で、ブルゴーニュを左で飲むと味わいが落ちるという  Photo by Yoko Masuzawa