──2022年の動きを踏まえて、2023年に個人的に期待している領域、またどういった領域がトレンドになると思いますか?
引き続き、クリプト、AI、メタバースが順調に伸びて来ると思います。AIの進化は恐ろしいことになっていますが、コンシューマー向けのさまざまなプロダクトに実装がはじまっていくので、ユーザーが体感できる便利さをより感じることができるでしょう。
メタバースは、メガITベンチャーが本格的に仕掛けるものはまだ来ず、ホロアースなどのVtuber勢、NEIGHBORなどのフォートナイト勢などが台頭してきて、「より現実的にコンシューマーが使いたくなる、無理のないメタバース」が増えてくると予想しています。
──市場環境にも大きな変化があり、上場承認を受けた企業が上場を延期したり資金調達がシビアになったりと、スタートアップも大きく影響を受けた1年だったと思います。起業家として事業を運営する中で大変だったことなどあれば教えてください。
Web3時代では、世界情勢が金融に影響を与えた場合に、それがクリプト市場全体に影響を与えるので、NFTや暗号資産の価格が落ち、事業に直接的な影響があるというのが一番大変だなと思いました。端的にいうと、NFTを出す時の市況感、暗号資産を日本円に換える時の価格などによる影響が大きいので、予想しづらいというのを感じています。
堀井翔太 / スマートバンク代表取締役
──2022年に盛り上がったキーワードは何でしょうか?
ダウンラウンド。
──そのキーワードを選んだ理由を教えてください。
この10年続いた好調な資金調達環境の潮目が変わった象徴的な年でもあり、エクイティファイナンスを繰り返すことで成長していくスタートアップとして、事業計画の変更を余儀なくさせられた年でもありました。
冬の時代の始まりでもあり、この10年の起業家が経験してこなかった局面ではあると思うので、より限界利益やLTV(ライフタイムバリュー)やCAC(顧客獲得単価)のような資本市場から評価されやすい事業モデルにキャッチアップできるか、CF(キャッシュフロー)マネジメントも含めて、BS(バランスシート)手当てを戦略的に実行できるかなど、真の意味で起業家の地力が問われる年になったなと思います。
一方でそういった中でも調達マーケットがすぐに干上がってしまったというわけではなく、より勝ち筋の強いスタートアップ投資は継続すると思うので、限られたスタートアップの中からしっかり資金調達を実施し、大胆な投資で大きく成長ができるかどうか。ある意味、飛躍するチャンスでもあるのかなと思っています。