及川:特にエンジニアはどこにでも転職しようと思えばできる人たちですし、従業員満足度は重要ですよね。

丹下:評価制度で言うと、SHIFTは半年に1回のペースで評価をしていて、今でもSHIFT本体の上位成績2割以上の社員は僕が直接評価して給与を決めています。それでもし本人が納得いかなければ僕に直接意見を言えるホットラインも設けていますし、平均で年間約10%の昇給を実現していますから、社員の満足度は高いです。

これは僕の持論ですが、(M&Aなどで)SHIFTに入ってもらったほうが社員は絶対に幸せになれると密かに思っています。ただ、ときどきあるのが大手SIerのブランド力に勝てないケース。採用で言う「嫁ブロック(ここでは、採用候補者の家族がSHIFTと大手SIerを比較して、知名度から大手SIerを就職先として選ぶよう促す現状を形容している)」みたいなもので、そこを崩せないことがやっぱりありますね。

及川:嫁ブロック活用は大企業側の王道な戦略でもありますよね。

丹下:戦略だし、それを突き崩せないのは、結局こちらの魅力がまだ足りていないということですから。今後、まだまだ改善するべき部分ですね。

M&Aチームには習熟度が必要。人の「心」が読めるチームを育てていく

及川:ほかにも、御社はM&Aのエージェント向けの説明会をいち早く実施されました。本来やった方がいいとは思いますが、普通はあまり実施しません。

丹下:人材エージェント向けの説明会なんかはみんなやりますよね。SHIFTはM&Aって中途採用と同じだと思ってますから。基本のトークスクリプトも自分たちでつくって、エージェントにお渡ししています。

M&Aのソーシングで苦労している話もよく聞きますけど、重要なのはKPIの数字そのものじゃなく、結果につながる構造ですから。エージェントの人たちにSHIFTのファンになってもらうこともその一環です。だから、ソーシングチームの机にエナジードリンクを置いて、ひたすらテレアポさせるみたいなことはしない。構造を都度見直して、改善していくことにエネルギーを使っています。

及川:社内のM&Aチームづくりについてもお聞きしたいです。まず、どんな人材をどうやって集めていますか。

丹下:M&Aチームは、米国ハーバードでグローバルビジネスを学び、前職ではアメリカ企業買収に伴い現地でCEOの補佐としてM&A責任者を務めていた人に来てもらって、彼を中心に2年くらい前に組織化しました。優秀な人材をアトラクトする手法って実はシンプルなんですよね。どこでも稼げる人たちだからこそ、みんなお金じゃなくてビジョン、やりがいを求めている。だから、こっちは実現したい目標とか社会的意義を思い切り熱く語って、「一緒に大きな事業をやろうよ」と言う。M&Aチームだけじゃなく、僕は創業のころからずっとそのやり方でやってきて、本当に優秀な人たちが来てくれています。