ところがコロナの影響が出始めた2月の後半からは徐々にミートアップの自粛が進み、サイト上のイベント掲載数も激減。同時に新規の問い合わせや登録もピタリと止まった。
ミートアップをオンライン上で開催することを検討する企業もいたため、その方向に舵を切ることも考えた。ただ複数人が参加するオンラインミートアップの場合は採用担当者が1人の候補者と個別で話すことが難しく、参加者の転職意欲について質問しづらいため採用には向かない。採用を一時的に停止する企業や採用枠を絞る企業も出てくる中で、ミートアップの軸で事業を拡大することは困難だと考え、中村氏はピボットを決意したという。
次のアイデアとしてビジネスSNSのようなものなど、いくつも案を検討したが、最終的にはピボット前と同じく「採用」に関わるプロダクトに戻ってきた。
「時代の変化に伴って、それに適した採用のやり方もどんどん変わってきています。もともと前回のサービスも今の時代に合った採用の最適解を作りたいと思って始めたもの。今回も少し形は変わっていますが、根本の考えは共通しています」(中村氏)
企業と候補者双方にとって最適なカジュアル面談の形を実現へ
50人以上にヒアリングをしてみると、実際に「カジュアル面談という体で行ってみると選考をされた」という声も複数人から挙がったそう。どういうUIであれば面談者と候補者双方が使いやすいかを数カ月間テストしていく中で、今回ようやくローンチに漕ぎ着けた。
「特にエンジニアの人からは、採用担当者ではなく現場のエンジニアと話をしたいという要望が多かったです。プロトタイプの反応を聞いても、当日誰が出てくるのかが事前にわかっている点がいいねと言われることがほとんどでした」
「一方でイベントプラットフォームで『カジュアル面談』と検索すると、採用担当者向けのカジュアル面談の勉強会が出てくるほど、企業側もカジュアル面談のやり方に悩んでいることがわかりました。候補者側だけでなく、企業の課題もうまく解決していきたいと考えています」(中村氏)
目下の課題は、どれだけコンテンツ(面談の募集)を集められるか。まずは企業内などでもリファラル採用に協力的な人材を中心に、面談者としてコンテンツを掲載してくれる人材の獲得を目指していく計画だ。
まずはCtoC型の無料のカジュアル面談サービスとしてスタートするが、ゆくゆくは面談者(中の人)と企業を紐づける形で企業アカウントを用意する方針。スカウトに近い有料の招待機能や企業向けの採用CRMを通じてマネタイズすることを目指すという。