能登地震を巡る原発デマ(1)
津波が防潮堤にあと1mまで迫った

 一つ目は、志賀原発について「4mの防潮堤に迫る3mの水位上昇があり、北陸電力はその事実を隠していたが、隠しきれなくなって公表した」というものだ。

 北陸電力は当初「水位の変動なし」としていたが、後になって「水位の3mの上昇を検出」と訂正をしている。確かに、「本当にあと1mに迫った」という事態なら隠したくもなるのかもしれないが、実際はそうではない。

 志賀原発の防潮堤は、標高11mの高さに設置されており、4mの防潮堤を含めると、水位が15mに達しないと津波が到達することはない。さらに、到達したところで対策は取られているのだが、いずれにしろ15mの壁があり、3mの水位上昇を確認できたにすぎない。

 何も危機が起きていないのだから、隠すメリットもない。これはミスリードからつくり上げた誤報といえよう。

能登地震を巡る原発デマ(2)
使用済み燃料貯蔵プールの水でミスリード

 次は、「地震で使用済み燃料貯蔵プールから水がこぼれ出た」というものだ。

 これはファクトではあるものの、ミスリードを誘うものだ。使用済み燃料貯蔵プールから水がなくなると、使用済み燃料を冷やすことができなくなり、危険な状態になるのは事実だ。

 しかし、こぼれた水の量は、プール全体から考えると誤差の範囲の水量といっていい。詳しくは、志賀原発1号機ではプール総水量125万リットルのうち約95リットル、志賀原発2号機では231万リットルのうち約326リットルにすぎない。

 プール水がこぼれたことによる水位の低下は、1号機では0.8mm相当、2号機では1.3mm相当だったことが確認されている。この程度の水位の変化に大騒ぎする理由はない。