「飲み放題」コースは消えていく?
では、これから何が規制されていくのかというと、「飲み放題」だ。
そう遠くない未来、居酒屋などが提供する「2時間飲み放題コース」などが問題視される可能性が高い。最初は国の規制に敏感な上場企業や大手チェーンが廃止をしていく。そのうち世論も盛り上がって、個人経営の居酒屋にまで「飲み放題」を自制するような声が高まっていくのだ……。
なぜそんな「営業の自由」を侵害するような話がまかりとおるのか。実は、今回のガイドラインの最後に「避けるべき飲酒等について」という項目があり、その冒頭に「一時多量飲酒(特に短時間の多量飲酒)」と明記されているからだ。
宴会などで「2時間飲み放題コース」を利用した事がある人ならばわかると思うが、「飲み放題」は食べ放題やビュッフェと同じで、とにかく料金以上に元を取ろうという消費者意識が強く働く。1杯ずつ注文するよりもペースは早くなる。「一時多量飲酒」を促すシステムと言っていい。
しかも、店員から「もうそろそろ終了時間です」と言われると、「どうせ誰か飲むでしょ」という感じで、ビールや酎ハイやらを必要以上に頼んでしまう。そこでたくさんの酒が運ばれてくると、残すのも気が引けるということで結局、退店時間までみんなで手分けをしてクイクイ飲み干さないといけない。「短時間の多量飲酒」の温床なのだ。
役所の仕事というのは、ガイドラインを策定したら、次はそれを守ってもらえるような普及・啓発に力を入れる。だが、それでも状況が改善せずに社会的不利益ばかりが増えていくとなると、いよいよ規制へ乗り出していく。
今回のガイドラインの「避けるべき飲酒等について」では五つの項目が挙げられている。そのうち四つは、「他人への飲酒の強要等」「不安や不眠を解消するための飲酒」など個人の意識で防げるものばかりだ。しかし、一つ目の「一時多量飲酒(特に短時間の多量飲酒)」だけは違う。個人の意識がなくても、「飲み放題」というシステムがなくなれば、かなり防げるものなのだ。
もちろん、厚労省のガイドラインにちょっと書かれたくらいで、いきなりそんな厳しい規制を進めるのは不可能だ。霞が関のパワーバランス的にも厚労省にそんな権力はない。
しかし、厚労省の背後に控える“世界的機関”が、日本政府に「外圧」をかければ可能である。それは、WHO(世界保健機関)だ。