梅雨を忘れる“天空の花園”でバラを愛でる
日本仏教の母なる山、その全域が最澄の開いた天台宗総本山延暦寺の境内でもある比叡山(標高848m)は、京都市街地より平均で4~5℃ほど気温が低いため、梅雨の蒸し暑さから逃れて、花を満喫できる特別の場所でもあります。
叡山電車「八瀬比叡山口」駅から叡山ケーブルとロープウエイを乗り継ぐか、京都駅から出ている所要時間70分ほどの直行バスを利用して山頂へ向かいましょう。延暦寺の中核となる根本中堂は、2016年から約10年にわたる大改修中ですが、その屋根の高さから修復の様子を見学できるステージが設けられるなど、いまだけしか見られない貴重な姿に触れることができます。
延暦寺は、今年開宗850年のメモリアルイヤーで注目される法然上人ゆかりの地でもあります。13歳(15歳説も)で比叡山入りした法然上人は、18歳の時に比叡山黒谷の慈眼房叡空(じげんぼうえいくう)の元に。それから25年にわたる修行究学をしたこの黒谷にある青龍寺までは、車を止められる場所から徒歩で30分ほど下ります。深山幽谷の趣をたたえた山道を、一歩下りていくごとに俗世から離れていくような、厳かな空気を肌で感じてみてください。
再び延暦寺に戻ると延暦寺会館があります。疲れを癒やすべく、ここで供される「梵字テラミス」をと思ったのですが、6月1日から8月末まで全館休業なので、お花に救いを求めることにいたしましょう。比叡山内シャトルバス(冬季運休)に乗って、「ガーデンミュージアム比叡」に向かいます。
バラの名所として親しまれる京都府立植物園(今年開園100周年!)は5月下旬が見頃ですが、市街地より気温が低い比叡山では、花の移ろいがひと月ほど遅いため、梅雨の時期がまさに見頃に。6月中旬頃に咲き始め、7月上旬頃をピークに10月下旬頃までさまざまなバラが咲き継いでいきます。目で楽しむのはもちろんのこと、品種によって驚くほど異なる香りの豊かさも体験できるのか魅力なので、ぜひそっと顔を花弁の奥に近づけてみてください。山頂の澄み渡る空気とバラの優美な香りは、最高の癒しですよ。
園内は、睡蓮の庭など6つの庭に分かれており、ゴッホ、モネ、ルノワール、セザンヌら印象派の画家たちの作品を再現した陶板画と花々との共演は、なんともフォトジェニックです。パリの街角をイメージした園内のカフェからは琵琶湖側の絶景を一望できるので、休憩タイムにおすすめ。梅雨の下界を忘れて、“天空”の呼び名にふさわしいくつろぎの時間を比叡山で過ごしましょう。
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