社外取バブル2024最新版「10590人」の全序列#10Photo:JIJI

トップによる不正やハラスメント、法令違反や認証不正……。不祥事が発生した企業において、真価が問われるのが、独立した立場である社外取締役である。不祥事を起こした企業の社外取は果たして報酬に見合う活躍をしているのだろうか。特集『社外取バブル2024最新版「10590人」の全序列』(全14回)の#10では、トヨタ自動車や日産自動車、ENEOSホールディングスなど直近で不祥事が発覚した企業18社の社外取86人の実名と報酬、兼務先を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

日産で「下請けいじめ」疑惑
トヨタなど5社は認証不正

「本当に重く受け止めている」。日産自動車が5月31日に横浜市の本社で開いた記者会見。下請け業者への納入代金を発注後に減額した下請法違反問題を巡り内田誠社長はそう述べた。

 日産は3月、公正取引委員会から下請法違反により再発防止の勧告を受けた。だが、公取委の勧告を受けた後も、日産が一部の取引先に対して、一方的な値下げ要請をしていると、5月10日にテレビ東京が報じていた。

 会見では、この報道に関する調査内容が説明された。日産は報道されたケースでは、下請け業者と合意の上で価格を決めていたと主張。調査に当たった外部弁護士も現時点で法令違反は確認されていないとした。

 ただ、内田氏は「各方面の取引先から不満の声が上がっていることは事実。行き届いていない点があった」と述べ、社内外に再発防止の組織を設ける方針を示した。

 この日産のケースにとどまらず自動車業界で不祥事が噴出している。6月3日、トヨタ自動車をはじめ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の自動車メーカー5社は新車の認証試験で不正が確認されたと発表した。トヨタの豊田章男会長は同日の記者会見で、「トヨタグループの責任者としてお客さま、車ファン、全てのステークホルダーの皆さまに心よりおわび申し上げる」と陳謝した。

 不祥事の発覚が相次ぐ中で、問われるのが社外取締役の役割である。果たして不祥事に際し、社外取はその報酬に見合う、知見を発揮できているのだろうか。

 ダイヤモンド編集部は、直近で発覚した主な不祥事15件を抽出した。日産やトヨタに加え、社長がセクハラで解任されたENEOSホールディングスや、会計システムの欠陥によって英国で大冤罪事件を起こした富士通なども含まれる。そして、不祥事が発覚した18社の計86人の社外取の実名と推計報酬額の合計などをリスト化した。

 なお、社外取に不祥事企業以外の兼務先がある場合、その兼務先の企業名も示した。兼務先のステークホルダーにとって、その社外取が真価を発揮できるかどうか判断する材料ともなるだろう。次ページで、不祥事企業の社外取・報酬額リストを公開する。