企業のガバナンス改革の必要性が叫ばれる中、社外役員の拡充が進んでいる。今回は社外取締役と並んで重要な「社外監査役」にスポットライトを当てる。彼らは報酬に見合う働きぶりなのか。特集『社外取バブル2024最新版「10590人」の全序列』(全14回)の#9では、前編として社外監査役「上位2500人」の報酬額ランキングを紹介する。トップの金額は4613万円に上った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
トヨタが“太鼓持ち記者”を社外監査役に
きちんと働いているか報酬額でチェック
3月下旬、トヨタ自動車が発表した社外監査役の人事が話題となった。新たに任に就くのは、元中日新聞社の編集委員兼国際総合面デスクの長田弘己氏。トヨタでは初のメディア出身の社外役員となる。
長田氏は、1999年に中日新聞社に入社。四日市支局、名古屋経済部などを経て、2019年3月からトヨタグループを担当するチームのキャップを務めていた。
トヨタ担当時代には、長期連載の「トヨタウォーズ」を手掛けた。20年7月には「トヨタ・豊田章男社長が語る『後継者の条件』」という単独インタビュー記事を全6回にわたり掲載したこともある。ただ、章男氏の意向に沿ったような記事が目立つとされ、一部メディアでは「やたらと章男氏を持ち上げる“ヨイショ記者”」と報じられている。
もちろん長田氏が就く監査役は、企業にとって重要なポジションだ。取締役は企業の業務執行を担う。一方、監査役は、取締役の業務や会計に不正行為がないかどうかを独自に調査し、これをただすのが役割となっている。
もし、取締役の行為に不正があれば、監査役は裁判所に差し止めを求める権限を持つ。監査役は、経営からの独立性が重視されており、その半数以上は社外の人でなければならない。
折しもトヨタは6月に入り、量産に必要な「型式指定」の認証不正が発覚したばかりだ。管轄する国土交通省がトヨタ本社に立ち入り検査を行う事態となっている。
長田氏は社外監査役として、早速その真価が問われる状況になった。同氏にとっては、“権力者におもねる”というイメージを払拭する絶好のチャンスといえるかもしれない。
本特集では、これまで社外取締役をテーマに複数の独自ランキングを展開してきた。今回は、社外役員のもう一方の主役、社外監査役「全5170人」にスポットライトを当てる。
彼らの仕事ぶりを検証する材料として、今回は社外監査役「上位2500人」の推計報酬ランキングを、兼務社数と一緒に提示する。
報酬額トップの社外監査役は、3社を兼務して4613万円をもらっていた。企業が支払う多額の報酬額に、社外監査役の成果は見合っているのだろうか。次ページのランキングで確認していこう。