今回発表会に臨んだ3社は、いずれも昨年23年に社長が交代しており、新社長として2年目を迎えている。佐藤恒治トヨタ社長、大崎篤SUBARU社長・CEO、毛籠勝弘マツダ社長・CEOがプレゼンに立ち、その後3社それぞれの技術担当トップの中嶋裕樹トヨタ副社長・CTO、藤貫哲郎SUBARU専務・CTO、廣瀬一郎マツダ専務・CTOが、個々の新時代エンジンを説明した。3社の社長と技術担当トップが勢ぞろいして発表説明会を開くのは極めて珍しいケースだ。会場の展示ワークショップでは、3社が競うように技術トップによる熱弁が繰り広げられた。

 具体的には、トヨタがマルチパスウェイ(全方位戦略)の一環で、新開発の直列4気筒の2つの小型エンジンを披露した。これは次世代のPHEV(プラグインハイブリッド車)向けを意識したもので、トヨタが得意とするHEV(ハイブリッド車)を進化させ、当面の電動化への主力となりうるPHEVに対応していく考えだ。

 SUBARUは、固有の水平対向エンジンを生かして、新たにHEV向けハイブリッド機構を組み合わせる。また、マツダは独自のロータリーエンジン(RE)を電動化で生かし、「雑食性」(多様な燃料に対応できること)の特性を持つREでカーボンニュートラル燃料(CN燃料)を活用するなど、電動化時代のREを前面に打ち出していくことになる。

 このトヨタ連合3社は、モータースポーツレースでも液体水素エンジン車やCN燃料を搭載した車両で参戦するなど、パワートレインや燃料の選択肢を広げる活動を進めてきた。その中で、カーボンニュートラル実現に向けた新時代のエンジンの役割が明確になってきたとする。すなわち、次世代エンジンは、エンジン単体の性能向上だけではなく、電動ユニットと組み合わせることを前提に、エンジンと電動ユニットがそれぞれの得意領域で最適に機能することを目指すというものだ。