加えて、化石燃料から脱却し、こうした新時代エンジンをe-fuel(合成燃料)やバイオ燃料、液体水素など多様な燃料に対応させることで、カーボンニュートラルを実現していくことになる。今回の新時代エンジン発表会に先立って、トヨタ・出光興産・ENEOS・三菱重工業が「CN燃料」の導入・普及に向けた検討を開始すると発表しているのは、その流れをくんだものだ。

 佐藤トヨタ社長・大崎SUBARU社長・毛籠マツダ社長らは共に「電動化時代の内燃機関の役割の重要性」を強調した。「共創」と「競争」を軸にオールジャパンで電動化に取り組むことで、サプライヤーを含むサプライチェーンの構築を行い、将来の国際競争力を付けていくべきだとの考えを示した。

 総じてみれば、今回の発表会は、EVシフトが減速し、トヨタを中心とするマルチパスウェイへの評価を見直す機運が高まる中での「エンジン・リボーン」の動きということになる。BEVが減速しトヨタの得意とするハイブリッド車が好調な売れ行きを見せているのは、現状では現実的な市場の流れといえるだろう。

 一方で、こうした状況下にあって、ホンダは5月にEV投資を大幅に加速することを発表した。三部敏宏ホンダ社長は「中長期的に見ればEVシフトは着実に進むと確信している」と発言。2年前に表明した5兆円のEV投資を倍増して、30年度までにEV・ソフトウエア開発に10兆円の巨額投資を行うことを明言した。