(3)グリーン電力ビジネスを農水省で手がける

 一見、成立しそうな(1)と(2)の施策ですが、大きな問題があります。脱炭素を目指してグリーン電力を増やすという国の施策に逆行するかもしれないのです。

 その問題を起こさないためには農水省自体がグリーン電力を手がけることでマイナスにならないやり方を考える必要があります。

 先ほど述べた営農型太陽光発電もそのひとつですが、農水省には外局に林野庁があり、そこでは膨大な国有林を保有しています。これはかつての五現業のひとつに位置付けられる事業です。

 歴史的経緯や現在の政策をいったんガラガラポンすることができる前提で大胆にお話ししますと、農地を太陽光発電に転用するぐらいなら、国有林を太陽光発電に利用したほうがいいという考え方はありえます。

 もちろん、今、日本のどこかで行われているように、勝手に山林をはげ山にしてしまって、びっしりと太陽光パネルを敷き詰めるようなやり方だと、いつ災害がおきるかわかりません。ですから、そのような「経済優先のやり方」は絶対にやめるべきです。

 そうではなく、国有林を発電所にするのであれば、経済的には最適ではない形で、木々を一定量残したうえでの発電施設化を進めるべきです。環境破壊にならない範囲で、太陽光パネルや風力発電所を山林のところどころに少しずつ敷設していくのです。

 このような経済合理的でない開発は民間企業では採算にあいません。

 一方で農水省全体で考えると、自給能力を上げ、グリーン発電能力も上げ、乱開発による森林伐採も抑制し、民間では不採算な事業を公共事業として行うという可能性が生まれるのではないでしょうか。

 さて、今回の記事はあくまでイチ当事者による問題提起です。

 とはいえ地球温暖化で食料安保に問題が生じることが確実に予測される未来と、安易に進む農地転用による太陽光発電が増加しているという現状については、トータルで政府が取り組むべき課題であることは間違いありません。

 提案した掟破りのやり方がいいかどうかはともかく、米の未来についての議論を加速する時期に来ているのではないでしょうか。

農地の半数が太陽光パネルになる?絶望シナリオを避けるには「国営農業」しかない!