覚えている方も多いだろうが、これは2017年に蓮舫氏が旧・民進党の代表だったときに開発されたVRコンテンツだ。VRゴーグルをかけると、議員に360度取り囲まれた中で、目の前にいる蓮舫氏から「率直に答えてください!」「もしかして血税じゃないでしょうね!?」などと迫られるというもので、「蓮舫さんの恐怖の追及が疑似体験できる」と大きな話題になった。

 実際、これが出展された「ニコニコ超会議2017」のブースは「300分待ち」の大盛況で、主催者からは「ディズニーランド並」と評され、当時党幹事長を務めていた野田佳彦元首相も「VR蓮舫」を体験して、こんな感想を漏らしている。

「周りのヤジがある中で蓮舫さんに追及されれば、ふつうは精神的な圧迫感を感じると思う」

 そんな風に同僚たちからイジられるほど、蓮舫氏の「他人の粗探しをして厳しい言葉で追及をする人」というキャラクターは日本社会に定着していた。それは7年を経た今も変わらない。

 そういう極めて攻撃的なイメージのある人が、国会議員を辞めて都知事選にチャレンジした。当初は「小池氏と一騎打ち」なんて言われていたのにフタを開けたら、2016年の都知事選で「野党統一候補」だった鳥越俊太郎氏よりも票が取れなかった。

 蓮舫氏の厳しい追及を、憎々しげに眺めていた自民党支持者が、ここぞとばかりに叩くというのは容易に想像できよう。それだけではない。批判は反自民や「身内」である立憲民主党支持者からも寄せられるはずだ。「なぜ共産党と組んだのか?」「なぜ石丸氏のように若者の支持が得られなかったか」「あの内輪受けするようなフェス的なノリは誰が決めたんだ?」などなど、かつて蓮舫氏が国会で鬼ヅメしたように、ネチネチと問い詰めたいという「身内」も山ほどいるはずだ。

 このように蓮舫氏が「いじめ」だと被害を訴えているものの中には、実はかなりの割合で、蓮舫氏の政治的主張や選挙戦略の「穴」を追及している人もいらっしゃる。つまり、「あなたもいろいろ他人に厳しいことを言ってきたわけだから、この際こっちも言わせてもらうけどさ」という感じで、ごくシンプルに蓮舫氏にこれまでの政治家人生に対する「有権者からの厳しい意見」ではないか。

蓮舫氏が背負った“鬼ヅメ”の代償

 という話をすると、決まってでくるのが「野党は批判するのが役目なのだから、それをやっていただけの蓮舫さんを“他人に厳しい”などと批判するのは間違っている」というような反論だ。