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今、個人投資家の間では低コストのインデックス商品が人気です。投資先の調査や、投資先の特性に応じた投資比率の調整など、運用者が負担となることをしないぶん手数料が安い。株式型のインデックス運用は「いかにお金を増やすか」という点では確かに効率的ですが「社会にいい投資か」と問われると、答えはノーです。※本稿は、鎌田恭幸『社会をよくする投資入門:経済的リターンと社会的インパクトの両立』(NewsPicksパブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。

インデックス運用はいい未来をつくるか?

 あるとき僕の30歳前後の子どもたちと投資について話をする機会があった。彼らは、成人する前から前回紹介した「結い2101」にお年玉などで投資をしてきた。社会人になって収入が増えてくると、世界の株式に幅広く分散投資をする全世界株式(オール・カントリー)インデックス商品への投資もはじめ、しっかりと資産形成に取り組んでいる。

 いま、個人投資家の間では低コストのインデックス商品は人気だ。

「インデックス(指数)運用」とは、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価指数、世界でいえば米国のS&P500指数、全世界の株式市場全体をカバーする全世界株式インデックスなど、対象となる指数を構成するすべての株式に丸ごと投資するシンプルな投資手法をいう。

 運用者が投資先を調査したり、投資先の特性に応じて投資比率を調整したりするなど、負担となることをしないぶん、手数料が安い。経済全体が右肩上がりで順調に成長したり、金融緩和でお金が金融市場に流れやすい状況下では、株式市場全体が右肩上がりで推移するので、リターンも良好となる。

 僕も30年前は、インデックス運用を行っていたので、こうした投資商品の良さは十分に知っている。

 子どもたちに、「なぜ投資をするのか」と尋ねると、「銀行にお金を預けても増えないから」だという。仕事は自営業ということもあって、将来の生活が保証されていない漠然とした不安があることも察しがつく。

 次に、「なぜ全世界株式インデックスを選んだのか」と尋ねた。

「運用成果が良好で、効率的にお金を増やせそうだから」という理由だった。他にこれという投資商品が見当たらないという消極的な選択肢とも受けとれた。

 たしかに、数多くある投資商品や株式の中から自分に合ったものを選ぶことは容易ではない。そのため僕も、経済が右肩上がりで順調に推移するうちは、シンプルでわかりやすく、成果を得やすいインデックス型の投資商品を選択することはよいと思っている。