24時間テレビの募金は「24時間テレビチャリティー委員会」という組織によって運営されていて、サイトで事業報告書や決算報告書も読めるようになっているのだが、大抵の視聴者はそこまで読もうとしないし、「寄付金の着服があった。日テレ最低!」という具合であろうから、日テレにはさらに噛み砕いたわかりやすい情報発信が必要かもしれない。
また、出演者の高額なギャラについて、今回はやす子さんが「ギャラで1000万円もらった」というデマについて本人が否定する一幕があった。「誰のギャラがいくらか」は番組がチャリティーを目指す性質上、正当性に照らし合わせて世間にかなり気にされているポイントである(あまりにも高額なギャラは世間に許容されにくい)。だから、このあたりも世間の理解が得られるような情報発信の工夫が期待される。
「為さぬ善より為す偽善」
日テレに期待される生存戦略は
「為さぬ善より為す偽善」という言葉があるように、日テレが毎年どれだけの偽善をかましていたとしても、集められた募金で救われた人たちは現実として存在していたわけである。これは『24時間テレビ』が達成してきた紛れもなき意義である(今年の『24時間テレビ』の締めに、羽鳥慎一アナがもっと丁寧な言葉で、「為さぬ善より為す偽善」的な考えに絡めて番組の意義を意思表明っぽく説明したところ、「それを日テレが言っちゃダメ」「元日テレの顔とはいえ、今はフリーの羽鳥アナにそれを言わせる日テレは誠意がない」といった批判もあった)。
そもそもが日テレは民間放送であり、営利団体だから、利益を目指すことは決して悪いことではなく、人間が呼吸するのと同じくらい当たり前のことである。利益と自局のブランド向上を目的に、特番として『24時間テレビ』が誕生し、運営されてきた――という点にも違和感はない。その番組にチャリティー要素を持たせ、募金を集めて社会貢献しよう――ここまででも十分に納得できるし、むしろ応援できる企画である。