周囲に迷惑をかけるかどうかで
大学側は判断すればいい
学習院の卒業生の一部が、「悠仁さまが学習院に進学しないのはノブレス・オブリージュに欠ける」とかいって攻撃しているのは困ったことだ。学習院を選ぶ道義的義務などあろうはずもなく、悠仁さまの自由を束縛すべきではない。
また、「学習院だけが皇族に特別の配慮をできる」というのは論理の飛躍だ。学校が公表している基準によらずに入学者の選抜を行うことは、良くないので透明化すべきだが、学力以外の要素を考慮すること自体は、過度でない限り、排除するべきではない。
特にAO入試や学校推薦の場合は総合評価が許されているわけで、皇族についても、その大学での勉学が社会にとって有益だと判断すれば合格させても良いと思う。
海外の大学は、有力者の子弟、官僚や企業のエリート社員、もしくは、寄付をしてくれたなどの理由で公然と入学させている。日本の学校でも同様のことがないはずはない。
皇族特権を否定したら、皇族は何もできなくなる。重要なのは、特権によって他人に著しく迷惑をかけないことである。たとえば、テーマパークに皇族が遊びに行かれるとすれば、貸し切りなどで他の利用者に迷惑をかけないようにしてほしいということだ。優先入場まで否定することもなかろう。
大学進学でいえば、学力的についていけないような学校に背伸びして入るのは、周囲に迷惑をかけるので良くない。大学側もそういう観点から判断すればいい。
最後に、学習院の皇族教育についての役割を前向きに考えるとすれば、皇室・華族研究所のようなものをつくって、研究や人材育成をしたらいい。伝統的な宮廷文化や皇室の歴史について体系的に研究対象としてほしいし、海外のハイソサエティーの文化についての研究は国益のためにも必要だと思う。また、悠仁さまや妃殿下になる人も含めた教育の場として活用してもらえるように提案したらどうだろうか。
(評論家 八幡和郎)