たとえば工事中の現場で、重い工具を高いところに置きっぱなしにした部下に対して上司にあたる親方が、「バカヤロウ!てめぇ人を殺す気か!そんなもんが頭の上から落っこちてきたら危ねぇだろうが!」と怒鳴ったとしても、パワハラと認定される可能性は低いでしょう。

 では、これがもし、「バカヤロウ!なんでそんなところに工具置いてんだよ!アタマおかしいのか?お前を産んだ親の顔を見てみてぇよ」といいながら頭を叩いた、という行為だったらどうでしょう?

 どちらもキツイ言葉ではありますが、前者は職場環境や周囲にいる人の安全を守る目的があって、業務上必要な注意をしていることが明白なのに対し、後者は相手を非難し親まで侮辱する、さらには暴力を加えるなど、どう見ても不適切な行為であり、パワハラと認定される可能性は高くなります(1回でNGかどうかは関係性も含めて判断されるので、実際にパワハラと認定されるのかどうかはまた別の問題です)。

「キツイ言葉」であっても、業務上必要か否かが判断の基準となってくるわけです。

※1労働者の属性:例・経験年数や年齢、障害がある、外国人であるなど

※2心身の状況:例・精神的または身体的な状態や疾患の有無