規定や罰則がないにもかかわらず、なんとなく皆がスーツや制服を身につける暗黙の了解が存在している組織も多い。そういった文化を変えるためには、どうすればよいのだろう?

タイミングを見計らって自由な格好で出社してみる

 筆者のアドバイスは極めてシンプルである。まずはあなたが、自由な髪形や服装で出社してしまおう。周りの目など気にする必要はない。あまりに公序良俗に反する服装や髪型でなければ(あるいは清潔感を欠いているものでなければ)、あなたの好きな髪形や服装で出社してしまえばいいのだ。

 気が引けるようであれば、その服装や髪型が合理的である理由をつけられそうなタイミングを狙う。たとえばチノパンやジーンズにスニーカーで出社したいとする。オフィスの引っ越しやレイアウト変更のタイミングなどを狙ってはどうだろう。荷物の搬入や倉庫整理などの肉体労働が発生するタイミングもよい。「動きやすい服装で来ました」と言える。

 あるいは、世の中で自然災害が多発しているタイミング、直後に帰省や旅行の予定があるタイミングなど。「安全に避難行動ができるように」「そのまま旅行に行けるように」などの理由付けをしやすく、かつ周りの人たちに受け入れられやすくなる。こうして小さく、職場にカジュアルな服装で出社する文化の風を吹かせるのだ。

権利を行使しつつ、しっかりと成果を出す

 ただし、自由な服装で出社した際には、すべきことがある。いつも以上に本気で仕事をして成果を出すことだ。

 先ほどのNTTデータの茶髪や金髪の人たちも、仕事に対する熱量と姿勢はホンモノだ。高い視座と広い視野、情熱を持ち、社外の人たちもリスペクトしつつ丁寧に仕事を進めている。権利を行使しつつ、誰にも文句を言われない状況を創ろう。

 かくいう筆者はいまだに髪の色を染めたことはないが、服装は基本的にセーターやトレーナーにジーンズ、ウォーキングシューズである。地方の講演などでは「そのほうが講演の前後に散策や観光がしやすく、地域にお金を落とすことができますし、地域の魅力も存分に発信できますから!」と言い、押し通している。

 一歩踏みだす!

 ・まずはあなたから、好みの服装や髪型で出社してみる
 ・理由をつけやすいタイミングを狙って実践する
 ・ただしいつも以上の真剣さで仕事に取り組み成果を出す

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。