生まれ変わった二つのモダン建築
「顔の家」からひと筋東の室町通を下がって3分ほどの地には、大河ドラマ「光る君へ」にも登場した一条天皇后の藤原定子が暮らした二条宮(992年完成)があり、その跡を示す碑がこの8月に新設されました。
この先、烏丸通を下がっていきましょう。地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅すぐの「京都国際マンガミュージアム」(中京区)。ここは番組小学校の一つで、1869(明治2)年開校の旧龍池小学校(上京第25番組)でしたが、いまや京都でトップクラスの人気を誇る御所南小学校に統合されたのを機に、京都精華大学と京都市が共同で管理運営するようになりました。国の登録有形文化財です。マンガの国際的な影響力は絶大で、インバウンド客で連日大にぎわいしています。
烏丸通沿いに立ち姉小路通と交わる「新風館」は、2020年に開業した商業施設やホテルがある複合施設です。再開発の基になった1926(大正15)年竣工の旧京都中央電話局は、近代モダニズムの先駆者であり、東京や大阪の中央郵便局も手掛けた逓信省技師の吉田鉄郎が設計した3階建て回遊式のれんが造り風建築で、特徴あるアーチ形の連続窓は一部が残されています。6日にはガイドツアーもありますよ。
実はこの土地、平安末期の院政時代には、白河法皇の院御所「三条東殿」の一部があった政治文化の中心地で、ここが襲撃されたことで平治の乱(1159年)が起こった歴史的な場所でもあります。
他に吉田が手掛けた旧京都中央電話局上分局(1923年)は、丸太町橋近くに残っています。旧京都中央電話局だった近代建築としては、岩元禄設計の西陣分局舎(上京区油小路通中立売下ル)も見逃せません。
もう1件おまけを。鴨川を渡って八坂神社境内の東側に建つ1909年築の「長楽館」(東山区)が、つい先日、京都市指定有形文化財から国の重要文化財に昇格する答申がなされ、話題となりました。タバコ王といわれた旧村井家別邸のぜいたくな空間でカフェが利用できるので、余力があればぜひ足を延ばしてカフェタイムを楽しんでください。5日にはアフタヌーンティー付きガイドツアーもありますよ。