部下からの相談時に注意すべき
「よかれと思って」の一言

 私もよくやってしまう反省すべきことの1つに、相談を受けたときに、相談されたこと以外のことについても「つい」「良かれと思って」指摘してしまうことがあります。

 たとえば「部下のマネジメントに困っている」という相談者が来て「先日、部下からこんな不満を言われたのだけれど、どう言葉を返したら良かったのか」という相談に、「私だったら、こう返すかな」と答えてそれで終わりにすればいいものを、「そもそも、そういうことを言われてしまうのは、あなたが優し過ぎると思うから、もっと……」と、相手が特に求めていないことまで言ってしまうことがあります。

部下から「老害と思われる上司」と「メンターと思われる上司」のたった1つの違い『メンターになる人、老害になる人。』前田康二郎(クロスメディア・パブリッシング)

 相談者が「自分の性格が優しすぎてリーダーに向いていないのではないかと思うのですが……」という相談を受けたならそれについて答えればいいのですが、この場合は、相談者の立場になれば「いや、別に仕事上の部下の発言について相談しただけで、どうして自分の性格のことまで踏み込まれなければいけないのか」となってしまうこともあります。

 人は相談をされると「できるだけ相手に役に立つことをたくさん言わなければ」と思いがちですが、それによって「余計な一言」「相手が求めていない範囲」「相手が触れられたくない範囲」まで言ってしまう恐れもあります。

「まずは求められているものだけに忠実に打ち返す」という意識もメンターから老害に転じないコツではないかと思います。