仕事ばかりに自分の時間を
費やす人生でいいのか?

 1845年、ヘンリー・デイヴィッド・ソローは、田舎で沈思黙考しつつ簡素な生活を送るのにお金がどれくらい必要なのかを明らかにしました。

 彼は計算をした上で、2年と少しの間、マサチューセッツの森の中で自然と調和して生きるために最善を尽くしたのです。

 1960年代にはヒッピー族が、現在ではFIRE(経済的に自立し早期退職する人々)や、必要最低限のものだけを車に積んで生活する人々が現れました。さらにパンデミック期間を経た今、人生において仕事の果たす役割が大きくなりすぎているのではないかと疑問を持つ世代がいます。

「50歳になったら仕事をやめてゆっくりするよ」→2000年前の哲学者の猛ツッコミが正論すぎて何も言えない…『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』(ブリジッド・ディレイニー著、鶴見紀子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 もっと多くの人が時間の貴重さに気づき、生活の中心かつ全体を束ねる原則として位置づけたらどうなるか、想像してみてください。その結果はまさに生き方の革命となり、皆が目を覚ますでしょう。

 現在の私たちは、この世で時間を独り占めしているかのような生き方をし、退職するまで、または「いつか」という正体不明のときが来るまで、本当にやりたいことを先送りにしているのです。いつかはもっと旅行し、もっと休み、もっと本を読み、本を書いたり子どもと遊んだりし、あるいは起業し、田舎に移住し、家庭を築くのだと言って。

「人生が終わるときになってようやく本当の人生を始めるなんて、あまりに遅すぎる!」