同年8月に発生した日本航空123便墜落事故で中埜肇球団社長が死亡する悲劇を乗り越え、バース、掛布、岡田の「バックスクリーン3連発」に代表される圧倒的な打力で勝ち抜いた印象深いシーズンだった。一昨年2023年は、1985年以来38年ぶりに日本一に輝いたタイガースだが、記念すべき2025年はどうなるだろう。
30年前の1995年1月には兵庫県南部地震が起きた。阪神は高架橋や駅舎、車庫が崩壊し、保有車両の3分の1が全半壊する甚大な被害を被った。復旧費用約570億円は、JRを除く私鉄・公営鉄道の中で最多であった。
2005年に降って湧いたのが「村上ファンド」問題だ。同年9月に村上ファンドが筆頭株主になったことが明らかになり、その後も株を買い増し。同年末から2006年にかけて「モノ言う株主」として阪神に企業価値向上策を要求した。
両者の対話は平行線に終わり、最終的に「ホワイトナイト」として名乗りを上げた阪急電鉄が、村上ファンドから株式を買収。両社は2006年10月1日に共同持ち株会社「阪急阪神ホールディングス」を設立し、経営統合した。長年のライバル関係にあった両社の統合には驚いたが、20年ですっかり定着した感がある。
並行路線が多く私鉄、JRの競争が激しい関西圏では、各社が独自の文化、気風をはぐくみ、切磋琢磨してきた。しかし、東京圏より早い少子高齢化の訪れや、東京一極集中の弊害で大阪経済が疲弊すると、競争だけでは生き残れなくなってくるため、2000年代以降は競争と協調を進めつつ、インバウンド誘致など地域としての盛り上げを進めてきた。
関西私鉄はコロナ禍以降、定期・定期外利用ともコロナ前から10%前後減少しており、需要がさらに縮小している。その中で阪神電鉄は比較的、好調な部類だが安穏とはしていられない。大阪・関西万博が開催される2025年、阪神を始めとする関西私鉄が一層活気づくことを期待したい。