(1)支給条件
「入社後1カ月間の欠勤がないこと」「入社後6カ月間の出勤率が95%以上であること」「祝い金支給時に在籍していること」など。勤怠状況で設定する場合が多い。
(2)支給額
会社の状況に応じて、数万円から百万円を超える場合もある。
(3)支給時期
・ほとんどの企業では勤務開始から一定期間の経過後に支給している。
「初回の給料と一緒に支払う」「入社6カ月後に支払う」「分割で数回に分けて支払う」など
入社時に入社祝い金を支給する場合、Cのようにすぐ退職するケースがあるため、金額を数万円程度としている場合が多い。
(4)その他
就職時に引っ越しを伴う場合、引っ越し費用の一部として支度金を支給する企業もある。
A社長はうなずいた。
「やはり当面、入社祝い金制度は続投だ。支給条件や時期はB部長と検討します」
「そうですね。しかしB部長の懸念もわかりますから、退職されないよう適切な指導とかフォローアップに力を入れてください」
入社祝い金を支給すると、所得税や社会保険料の支払いは発生する?
「わかりました。ところでFさん。入社祝い金を支給する場合、所得税や社会保険料の支払いはありますか?もし必要なら、しかるべき処理をしなければいけないので……」
「税金についてはざっくりですが……」
(税法上の取り扱い)
○ 入社前に支給した場合:支給目的が将来の雇用契約を前提としている場合、労働の対価としての性質を有するが、実際に労働していないため「雑所得」に該当する。
○ 入社日以降に支給した場合:労働の対価として「給与所得」に分類され、所得税の対象になる。
(労働保険の取り扱い)
労働保険(労災保険・雇用保険)では、入社祝い金は事業主が任意的恩恵的に支払うものであり労働の対償として扱わない解釈なので、保険料の算定対象にはならない。
(社会保険の取り扱い)
入社日より一定期間後に入社祝い金を支給した場合、社会保険では「労働者が労働の対償として受けるもの」と定義されるので(勤務状況による支給条件を付していることが多いため)、社会保険の算定対象になる。入社日に支給した場合は祝い金の性質や支給条件を考慮して判断する。甲社のケースでは支給理由が入社後働いてもらうことへの期待を含んでいるため、労働の対価として社会保険の算定対象になりうる。
(入社支度金の取り扱い)
○ 入社に際しての転居等、引越費用を目的とした支度金を支給する場合、労働の対価ではないので、実費支給など通常必要な範囲内の支給であれば非課税であり、労働・社会保険料の算定の対象にはならない。