これは、外国人からすると「物価が4割も安くなった」ということ。渡航費から滞在費、土産物に至るまで、すべてが割安になっています。

 そうなれば、「日本にいこう!」と考える外国人が増えるのも納得がいきます。

図表2:ドル/円相場の推移同書より転載
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日本人の国内旅行も増加傾向
観光市場の規模は拡大の一途

 実は、地理的に日本に近く、コロナ前は「爆買い」などで話題となった中国人の観光客については、まだ回復の途上にあります。中国では、ゼロコロナ政策によって行動制限が長引いたことや、日本への団体旅行が解禁された時とほぼ同時期、日本政府が福島第一原発の処理水の海洋放出を開始し、中国政府が激しく非難したことから、日本への渡航が自粛されました。これらが中国人観光客が十分に回復していない背景です。

 つまり、「以前はインバウンド消費の主力だった中国人観光客が回復していないのに、他の国や地域からの観光客が押し寄せている」ということです。

 ただ、その後日本政府は中国人向けの査証(ビザ)発給に関する緩和措置を打ち出しています。団体旅行で取得するビザは滞在可能な日数をこれまでの15日から30日に延長するとし、65歳以上の中国人に限り、個人向けのビザで在職証明書の提出を不要にする措置も始めます。2025年4月13日から半年間開催される「大阪万博」への誘致や、長い旅程を組めるようになることで、訪問先の選択肢が増え、中国人観光客が地方を訪れる機会の増加を見込んだものと思われます。