
今や、社会人の「学び直し」の場としてすっかり定着してきた大学院。特集『40歳・50歳・60歳から人生を一新! 資格&学歴 裏ワザ大全』の#6では、入試は受験しやすいのに経歴も実力も刷新できる、全国の名門大学の“穴場”大学院リストを大公開。大学院進学を考える社会人から学部生まで必見だ。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
「経歴」も「実力」も盛れる!
大学院に進学する社会人が増加中
スキルアップを目指す社会人のリカレント教育(学び直し)の場として、大きな選択肢の一つとなっているのが大学院だ。2000年比で大学院生に占める社会人の数は、およそ2.5倍に増えている。
『「学歴ロンダリング」実践マニュアル』(オクムラ書店)の著作がある、赤田総合研究所(赤田塾)所長で大学院受験コンサルタントの赤田達也氏は、社会人大学院生が増えている背景について、「自らの知識やスキルを磨きたいという社会人が大半だが、近年は中小企業の経営者の箔付けをはじめ、子どものお受験や婚活のために経歴を刷新したいといった理由も増えている」と指摘する。
入学動機が何であれ、大学院修了で得られるのは最終学歴の刷新だけではない。ビジネスにおける実力、すなわち「稼ぐ力」も付けられる。
公益財団法人関西生産性本部が21年に報告書をまとめた「企業の人材ニーズと高等教育のマッチングに関する研究プロジェクト」で、大学院修了者の賃金プレミアムを産業別に調査したところ、調査対象企業のうち「約74%の企業が大学院修了者と大学卒業者の給与や待遇に制度的に差をつけていない」にもかかわらず、「大学院修了者が大学卒業者よりも約25~40%高い賃金を得ている」という結果が示された。また、企業役員の最終学歴も07~17年の10年間で、大学院修了の割合が5.8%から11.5%へと倍増している。
忙しい社会人が大学院受験するなら
門戸を開いた穴場の大学院探しが不可欠
大学院進学を目指す社会人が気を付けたいのは、同じ大学院でも、従来の研究者養成機関として機能し、優秀な内部進学者が多数を占めるところと、社会人や他大出身者などに広く門戸を開いているところの見極めだ。
かつての大学院の入試といえば、専門科目に2カ国語の和訳、さらに面接と、「研究者の卵」を厳しく選抜する内容だった。ところが、近年は誰もが憧れる名門大学の大学院であっても、中には面接のみか、「TOEIC」など英語能力試験のスコア提出と面接のみ、小論文と面接のみのところもあるなど入試の多様化が進んでいる。博士後期課程へのさらなる進学を視野に入れるなら話は別だが、忙しいビジネスパーソンがコスパ・タイパ重視で狙うべきはこちらになる。
次ページ以降では、赤田氏の協力の下、東京大学や京都大学をはじめとする旧帝国大学のほか、一橋大学、東京科学大学(旧東京工業大学、旧東京医科歯科大学)、東京藝術大学、早慶(早稲田大学、慶應義塾大学)など、名門25大学の大学院のうち、入試のハードルが低く、穴場となっている“お得”な大学院リストの最新版を研究科やコース単位で一挙掲載する。
さらに志望校の絞り込み方や併願方法を伝授するので、社会人だけでなく大学院進学を考える学部生もぜひ参考にしてほしい。