
桃田健史
第74回
電気自動車と言えば、コストの大半は電池が占める。その中核パーツをめぐり、韓国メーカーが、日本勢の4年後の目標価格をさらに下回る驚くべき価格破壊を仕掛けてきた。日本勢に勝ち目はあるのか。

第73回
性急に白黒をつけたがるメディアの悪い癖がここでも出ている。電気自動車の技術課題をめぐって、さまざま批判が噴出しているのだ。メディアは、電気自動車がまだ普及期ではなく、普及準備期にあることをあらためて認識する必要がある。

第72回
前々回に取り上げた電動アシスト自転車の続報をお伝えする。今回の物語の主役は、ヤマハ発動機と熾烈な競争を展開するパナソニック陣営。完全子会社化する三洋電機の電動アシスト自転車技術の内実とあわせて、知られざる技術開発競争の舞台裏をレポートする。

第71回
事実上、トヨタ側の主張を認めるかたちで、トヨタ車の電子制御系問題に米運輸省が「シロ」の判定を下した。そもそも一連のバッシングの根拠薄弱は、米自動車業界内部でも認識されていた。ついに業界関係者たちも公の場で本音を語り始めた。

第70回
海外生産シフトが進む自動車や自転車とは違い、電動アシスト自転車の製造はもっぱら国内で行われている。付加価値が高く、内需の伸びも期待できる同分野の国内製造は、輸送機器業界のみならず、日本の製造業全体にとっても、空洞化との戦いの大事な砦と言っていい。

第69回
カリフォルニア州を中心に米国各州で排ガス規制がさらに強化される2012年をにらんで、各国の自動車メーカーが電気自動車ビジネスの離陸を目指した下準備を黙々と進めている。先頭を走るのは日米で「リーフ」を投入した日産。その後を、フォード、テスラ、中国のBYDなどが追いかける。

第68回
トヨタが「プリウス」の派生車種開発に力を入れている。デトロイトショーではワゴン型の「プリウスv」のほか、日本ではヴィッツハイブリッドとしての投入が噂される「プリウスc」を披露。豊田社長も現地入りし、ハイブリッドの王者の存在感を示した。リコール騒動以降の逆風をはね返せるか。

第67回
「リーフ」を発売した日産や米テスラと提携したトヨタの動きもあって、次世代車を巡る業界の話題は電気自動車(EV)一色だが、そうしたなかにあって、この2社の動きは面白い。内燃機関の生真面目な進化にこだわるマツダとEVは後追いすればよいとばかりに冷めているホンダだ。

第66回
日産「リーフ」の発売など電気自動車関連で威勢のいいニュースが相次ぐ中で、日本=電気自動車先進国と思う読者は多いかもしれない。しかし現実は厳しい。特に気がかりなのが中国とドイツの動きだ。

第65回
前回に続き「新世紀エヴァンゲリオン」で有名なガイナックスとスバル(富士重工業)のウェブアニメ協業の舞台裏を追う。作品「放課後のプレアデス」はなぜクルマ色を打ち出さなかったのか。今回はガイナックス関係者へのインタビューをお届けする。

第64回
いい意味でユーザーの期待を裏切ることが多いスバルが、またもや大胆な試みに出た。新世紀エヴァンゲリオンで知られるガイナックスと組んで、ウェブアニメを世に送り出すというのだ。クルマ漫画かと思いきや、予告編に現れた登場人物は美少女たち。その狙いはどこに?

第63回
株式再上場を果たしたGMが、期待の新車「ボルト」を投入する。ガソリンエンジンからも駆動力を得る場面があることから、電気自動車という名乗りには物言いがついたが、その実力は決して低くない。日産から発売される正真正銘の電気自動車「リーフ」とあえて比較検証してみた。

第62回
エコカーといえば、世間の注目は今や電気自動車(EV)に集中している。日産も近く量産型EV「リーフ」を投入する予定だ。ところが、EVの事業戦略の説明に際して、トヨタとホンダの歯切れがどこか悪い。背景を辿ると、それぞれの事情が見えてきた。

第61回
世間の注目度という点では、次世代車レースの現在の主役は電気自動車であり、2000年代に一世を風靡した燃料電池車の影は薄い。しかし燃料電池車がこのまま脇役で終わると考えるのは早計だ。九州発のあるプロジェクトの進展次第では、主役に返り咲く可能性がある。

第60回
電気自動車普及のカギを握る急速充電技術で世界標準を目指す日の丸連合の「チャデモ」。いくら優れた規格で開かれた存在をアピールしたとしても、東電や日本車メーカー各社が主導する動きに世界が黙ってついてくるわけではない。政府による“本気”の側面支援が今こそ必要だ。

第59回
局地的な提携や商品コンセプトばかりが表面化し、一貫した姿勢が感じられないトヨタの電気自動車戦略。しかし、そこには「臨機応変」という考え抜かれた戦略があるのかもしれない。トヨタに似たBMWの事業展開手法を見ていて、そう感じた。

第58回
少子高齢化などに伴う国内市場の構造的低迷、急激な円高を前提に考えると、雇用への配慮以外に国内自動車工場の明確な存続理由はもはや見出しにくい。それでも残すとするならば、何をどう残せばいいのか。日産の決断にそのヒントはある。

第57回
中小企業大国たる日本を救うヒントが産学官連携にあるといっても、ピンと来ないかもしれない。むろん、産学官連携であれば何でもいいと言っているわけではない。予算の使途に悩む政府関係者に是非注目してもらいたいのは、福岡県の水素プロジェクトだ。

第56回
電源にコードをつながなくとも電気自動車を充電できる「非接触給電」は、世界が注目する有望技術だが、実は今その研究開発をリードしているのが日本だ。ただ、そのリードは磐石とはいえない。強敵・韓国の足音が近づく中、産学官の連携強化が急務だ。

第55回
エコカー補助金終了でディーラー各社は悲観一色かと思いきや、そうでもなかった。一部の話では、良質な下取り車の流入で中古車相場が上昇し新車販売に好影響を与えているというのだ。補助金の思わぬ置き土産なのか、それとも単なる蜃気楼なのか。
