2015.3.26
中国に破れた通貨マフィア AIIBは日本外交の試練の場に
英国はじめEU主要国が参加を表明し、中国が主導するアジアインフラ投資銀行は、先進国の協力を得て実現する流れが決まった。日本は「慎重姿勢」を採りつづければ取り残させる。遠からず参加へと方針は転換されるだろう。
ジャーナリスト
やまだ・あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなどを務める。
2015.3.26
英国はじめEU主要国が参加を表明し、中国が主導するアジアインフラ投資銀行は、先進国の協力を得て実現する流れが決まった。日本は「慎重姿勢」を採りつづければ取り残させる。遠からず参加へと方針は転換されるだろう。
2015.3.12
中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を呼び掛けている。世界の金融秩序「IMF・世銀体制」への挑戦というのが専門家の見立てだが、仮にそうであっても日本はAIIBに参加したほうがいい。
2015.2.26
日銀の黒田総裁と安倍首相の間にすきま風が吹いている。2月12日の経済財政諮問会議で黒田総裁は発言を求め「財政の信任が揺らげば金利急騰のリスクがある」と首相に直言した。金利急騰とは国債暴落のことだ。
2015.2.12
トマ・ピケティは「格差の背景に不公正な税制がある」と喝破した。この日本で不公正な税制で得しているのは誰なのか、税制に目を向けようと専門家が動き始めた。「国民の立場に立った税制」を提案するという。
2015.1.29
イスラム国による邦人人質事件で世論が揺れている。アメリカはイスラム国を「敵」として位置付けるが、では日本はどうなのか。安倍首相の積極的平和主義は世界を敵と味方に分ける発想だ。日本外交はいま分水嶺に立っている。
2015.1.15
今年は世界で何が起こるのか。米国、中国が抱える構造危機は、遠雷のような不気味さを秘めるが、目を離せないのが欧州だ。内なるギリシャと外からのロシア。世界を揺るがす懸案に事欠かず、ユーロ体制が動揺する年になりそうだ。
2014.12.18
「この道しかない」をキャッチフレーズに安倍自民党は総選挙で圧勝した。憲法改正を視野に長期政権を目指す首相の前に立ちはだかるのは、前門のイスラム国、後門の財政再建問題。かじ取りを間違えれば、日本の危機となりかねない。
2014.12.4
安倍首相は選挙の争点は「アべノミクス」だという。だが、政権2年の実績は集団的自衛権行使の閣議決定や秘密保護法がある。これからは原発再稼働や普天間基地の辺野古移転だ。前面に出さない政策こそ総選挙の争点なのだ。
2014.11.20
安倍首相は消費増税を先送りし、衆議院を解散して信を問う、と表明した。だが、この解散には2つの憲法違反の恐れがある。その意味で、大義なき解散の本質は、「支持率が高いうちに」という党利党略以外の何物でもない。
2014.11.6
ハロウィーンの日、黒田日銀の「追加緩和」という妖怪が飛び出した。市場は驚き、株価は急騰、為替は大幅な円安に動いた。だが、これは超金融緩和から足抜けを図る米国の穴を埋める役割も担う。金融緩和の蟻地獄にはまった日銀の先には危機が迫る。
2014.10.23
お祭りのウチワと歌謡ショーツアーで、松島法務大臣と小渕経済産業大臣の首が飛んだ。小渕氏の問題は日本の政治風土を反映しているといえるが、二人の辞任にメディアの関心が向き、救われた閣僚たちが他にいる。
2014.10.9
朝日の慰安婦問題は、元朝日記者の家族にまで攻撃が及んだ。一方、朝日の責任は同紙も筋書ありき、と思われたことにある。批判する側もそれは同じ。視聴者、読者が「メディアとはそんなもの」と思ったとき、マスメディアは死を迎える。
2014.9.25
景気の減速が鮮明になってきた。安倍政権内では次の消費税増税を巡り、アベノミクス派、増税派の財務省、中間派の経産省の3者が鼎立の状態。過去、消費税増税に手を付けた政権はその命脈を絶たれた。「消費税の呪い」はあるか。
2014.9.11
池上彰さんのコラムを掲載拒否した、と聞いて「なんてバカなことを……」と絶句した。なぜ、こんな愚挙を犯したのか。朝日新聞で記者教育を受け、定年まで取材現場にいた立場から、社の体質と、それを取り巻くメディアの構造問題を考えてみた。
2014.8.28
ロシアのラブロフ外相は25日、ウクライナ情勢とは関係なく、訪日する用意があると述べた。「消えた話」と思っていたプーチン来日。それが蘇り、日本にタマが飛んできた。どうする安倍首相。日本は改めて「外交の独自性」が問われている。
2014.7.31
イスラエルによるガザ地区への攻撃で、パレスチナ側の犠牲者はすでに1100人にも達した。アメリカの後ろ盾もイスラエルを支えている。だが、力による制圧は一時の勝利を得ても、植え付けた憎悪に打ち勝つことは出来ない。
2014.7.17
7月13日の滋賀県知事選で、自民・公明が推した小鑓隆史氏が惜敗した。琵琶湖を抱え環境問題に敏感な風土の影響ばかりではなく、集団的自衛権を巡る安倍政権の強引な政権運営も潮目を変えた。政権への反旗は地方から広がる。
2014.7.3
イラクで急速に支配地域を広げるイスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国」が「カリフ制イスラム国家」を建国するという。中東から起った世界秩序への反逆は、やがて世界の成長センターを脅かすことになりかねない。
2014.6.19
政府は成長戦略の一つとして法人税の減税を行うなことを決めた。一方、トヨタ自動車はここ5年間も法人税を納めていなかった。企業を優遇する税制のおかげだ。消費増税の一方、さらに法人税を引き下げるのは、あまりに税の公平性を欠いている。
2014.6.5
日朝が合意し北朝鮮による「拉致解決」に向けて再調査が始まる。だが、合意文書を丹念に読むと拉致被害者が帰ってくるか楽観を許さない。国際関係の中で孤立する日朝の接近とも映る。
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