窪田順生
太平洋戦争は遠い昔の話などではなく、令和日本にも通じる「現在進行形の構造的な問題」である。一体どういうことか、日本の戦争被害を語るうえで避けては通れない「空襲」を例に説明しよう。

2011年の福島第一原発事故後、子どもの甲状腺がんが多く確認されている。これは「原発事故による被ばく」のせいなのか、それとも「過剰なスクリーニング」のせいなのか。がん検査や疫学調査の専門家らの中には、このスクリーニング検査が結果として、子どもたちのその後人生に不利益をもたらしていると警鐘を鳴らしている人も少なくない。

2022年度の最低賃金の目安が、全国平均で時給961円に決まったというが、実は韓国の最低賃金に追い抜かされている。ちょっと前も日本の「1人当たりのGDP」と「労働生産性」が韓国に追い抜かれてしまったということが大きな話題になったが、現実を直視できない日本人も多い。

これまでは、日本で起きているあらゆる問題は安倍元首相の責任だと主張する、いわゆる「アベガー」と揶揄される人たちがいた。そんな方々が、安倍元首相の死を受けて、日本のあらゆる問題は「社会の分断」が原因だと主張する「分断ガー」ともいうべき人々へとアップデートしているような印象を受ける。

個人的には国葬はやめた方がいいのではないかと思っている。戦後の首相として唯一の例である、吉田茂氏の国葬は実は当時、「無感動な官葬」などと大不評だったからだ。

宗教団体を憎んでいるはずの山上容疑者の頭の中では、なぜか教団よりも安倍氏の方を自分の人生を狂わせた「主犯」として強い殺意を抱いていた。なぜこんな論理の飛躍をするのか。実は今、日本でも山上容疑者のような考え方をする犯罪者が起こす事件が急速に増えている。凶行に及んだ背景と、山上容疑者の飛躍した思考回路を考えれば、これほど典型的なヘイトクライムはない。

自民党の会合で配布された冊子「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ー家族と社会に関わる諸問題ー」の中にあった記述が炎上している。「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」などだ。1915年にも「病的な愛」という記事を医学博士が寄稿しているように、これは100年以上前の価値観である。

ロシアによるウクライナ侵攻が5カ月目に突入したが、欧米諸国では「支援疲れ」が見えてきたという。長期化による「疲れ」は日本のマスコミにも見て取れ、ウクライナ問題を扱うテンションが露骨に落ちてきている。そんな今こそ、「戦争報道」の検証をして自ら反省してはいかがだろうか。

「なぜ日本の賃金はいつまでも上がらないのか」という議論が活発に行われている。その「答え」がつい先日、これ以上ないほどわかりやすい形で国民に示された。自民党の参院選公約から「最低賃金1000円」という数値目標がしれっと引っ込められたのだ。野党の多くは「1500円」など数値目標を掲げているのに、自民党はサクッと揉み消した。世界的に見ても「賃上げ」しない国は珍しい。なぜ苦しい家計にもかかわらず日本人は受け入れるのか。

20代男性のおよそ7割が配偶者や恋人がおらず、およそ4割にいたっては「デートの経験がない」。内閣府の調査を受けて、マスコミが「若者の恋愛離れ」だと騒いでいるが、こんな話は1980年代から存在していた。つまり、時代関係なく、「若い男性というのはもともとそういうもの」である可能性が高いのだ。なのに、なぜ何度もこの話題は蒸し返されるのか。

栃木県の小学生たちが開発に関わった「さんぽセル」の発売のニュースに大人たちからの批判が殺到しました。批判のコメントをつぶさに観察していくと、日本のイノベーションを阻んでいるものの「正体」がボンヤリと見えてきます。

政府は「外国人観光客にもマスク着用というルールを徹底させる」という方向で進めようとしている。こういう「押し付け」は逆効果で、事態を悪化される恐れもある。「マスクなし」で自国で生活をしている外国人に対して、説得力の乏しいロジックを強引に押し付けるのではなく、我々がマスクをつけている理由を正直にちゃんと説明をして協力を求めればいいのではないか。

バイデン米大統領の台湾有事をめぐる「計画的失言」が称賛を集めている。事の発端は今月23日、日米共同記者会見で、中国が台湾侵攻をした場合、軍事介入をするのかと質問され、元気よく「イエス!」と即答したことだった。この「失言」は今後どんな影響を及ぼすだろうか。

元大阪市府知事の橋下徹氏に対して、一部から「親中疑惑」が持ち上がっている。「上海電力」絡みで不透明な行政手続きが橋下氏主導で行われたのではないかというのだ。しかし、この疑惑、聞けば聞くほどモヤモヤする部分がある。特に個人的に気になるのは、河野太郎衆議院議員の「親中疑惑」とよく似ているということだ。

3年ぶりの「行動制限なし」の大型連休に浮かれるあまり、モラルのリミッターまではずれてしまった人が続出している。全国の観光地で「ポイ捨て」どころではない、ゴミの不法投棄被害が問題になっているのだ。それを厳しく糾弾しても解消はされないだろう。このような「旅の恥はかき捨て」的な振る舞いは、日本人の伝統的倫理観のひとつだからだ。

ウクライナ政府の公式Twitterがおよそ1カ月もの間、「ファシズム」の象徴として昭和天皇をヒトラーなどと並べた動画を投稿していたことがわかった。さらに、31カ国への感謝を述べる動画に「Japan」がなかったことなどが話題になっている。これらを受けて、ビミョーな気持ちになっている日本人が多い。なぜこんなことになっているのか。

在日ロシア人への排斥や誹謗中傷は「正しい暴力」と思っている人が増えています。そもそも日本社会には、「相手に非がある場合の暴力は正当化される」という伝統的な価値観があるからです。また、それはウィル・スミスの「ビンタ事件」の反応にも表れています。

日本も潤沢な防衛費や核ミサイルで国を守るべきだと言うような人たちが増えてきたが、それでは国は守れない。「エネルギーと食料の自給自足」という点が抜け落ちているからだ。実際に日本が周辺国から攻められたと仮定して、日本のエネルギーと食料がどうなっていくのかを考えていこう。

ウクライナで起きている虐殺について、ロシアは「フェイク」だと反論をしています。日本では欧米諸国の主張をなんの検証することもなく鵜呑みにしている人が多いのではないでしょうか。「戦争中のニュースはうそばかり」という危機意識が抜けています。

長年、企業人事の頭を悩ませてきた「若者が会社をすぐ辞めてしまう問題」。ある調査によると、昨今は“ホワイト化”した「ゆるい職場」が、若者が離職する要因の一つになっているという。しかし、筆者はこのストーリーには共感できない。「若者が会社をすぐに辞める」背景には、もっとシンプルで本質的な要因があると考える。
