窪田順生
陸上自衛官時代の性被害を告発した五ノ井里奈さんのもとに誹謗中傷が殺到した。その内容には「なぜ日本ではいつまで経ってもハラスメントがやめられないのか」という問題を考えるうえで、ヒントになることが多く含まれている。「ちょっと嫌な目にあったくらいでいちいち騒ぐなよ、これくらの辛いことを乗り越えられないと、一人前の社会人になれないぞ」というような考え方を持つ日本人がかなり存在していて、ハラスメントがなくならないのではないか。

「加熱式たばこ」にまつわる「炎上」が相次いでいる。その背景には、喫煙者の多くが、加熱式たばこは紙巻きたばこよりも体に悪くないので、屋内などで吸ってもそんなに問題にならないと考えている部分があるだろう。この「加熱式たばこ、実は紙巻きたばこよりも安全」説を補強するのが「規制」の緩さだ。本当に加熱式たばこは「水蒸気しか出ないから大丈夫」なのだろうか。

“燃える闘魂”アントニオ猪木氏が亡くなった。この数日は、猪木氏の追悼記事や関係者の思い出話などを読みふけっていたのだが、そこでちょっと気になるSNSの投稿を見つけた。猪木氏がかつて「統一教会系イベント」に参加したというのだ。一体なぜか。ご本人が鬼籍となった今、真相はわからないが、猪木氏をこよなく愛するファンとしては「政界復帰の布石」「福田赳夫」「北朝鮮」という3つのキーワードが頭をよぎる。

コロナ禍での自粛生活の影響で、体や心の不調をもたらすという「健康二次被害」が指摘されている。特に高齢者はコロナ重症化のリスクが高い一方で、過度なステイホームや活動自粛をすると心身を壊すケースが多く報告されている。なぜ「自粛」はここまで顕著に、高齢者の心と体をむしばんでしまうのか。運動量が落ちることや、免疫機能が落ちるという説明が一般的だが、実はもうひとつ忘れていけない大きな要因がある。それは「なぜ日本の高齢者は長生きなのか」ということを考えていくと理解できるという。

今月5日、日本を訪問中のベトナムの社会事業相が、加藤勝信厚生労働相と会談し「技能実習生に対する住民税・所得税の免除」を要請した。それに対し、加藤厚労相は「財務省と議論すると応じた」という。なぜこんなにもベトナム政府が「強気」に出られるのか。その背景には、ベトナムの「日本離れ」がある。どういうことか。

旧統一教会だけではなく、日本政府、政治家、マスコミなどが国民の信用を失っているのに対して、山上容疑者だけは評価が上がっています。ただ、この現象は「日本はテロに屈している」ということを示しているのです。

安倍晋三元首相の国葬費用が約16.6億になると公表され炎上している。政府の強行開催スタンスや推進派の皆さんの「強引な主張」を見ていると、筆者には嫌な予感しかしない。「ゴリ押し開催後に不正発覚」という「東京2020」と同じパターンをたどっているからだ。

「寿命を縮める」と聞くと何が思い浮かぶだろうか。よく言われる「高血圧をほうっておく」「タバコを吸う」「運動せずに太っている」というのは寿命を縮めていることが、データでも裏付けられている。ただ、「人を早死にさせる原因」はもうひとつある。それは「孤独」である。東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の辻一郎教授に話を聞いた。

お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光氏が一部で炎上しているようだ。「サンデー・ジャポン」(TBS系)で、旧統一教会を「擁護」するような発言が続いていることから、「旧統一教会批判をするミヤネ屋や、ひろゆき氏を見習え」「ただの逆張り以外の何物でもないからイライラする」とSNSなどでボコボコに叩かれているのだ。

太平洋戦争は遠い昔の話などではなく、令和日本にも通じる「現在進行形の構造的な問題」である。一体どういうことか、日本の戦争被害を語るうえで避けては通れない「空襲」を例に説明しよう。

2011年の福島第一原発事故後、子どもの甲状腺がんが多く確認されている。これは「原発事故による被ばく」のせいなのか、それとも「過剰なスクリーニング」のせいなのか。がん検査や疫学調査の専門家らの中には、このスクリーニング検査が結果として、子どもたちのその後人生に不利益をもたらしていると警鐘を鳴らしている人も少なくない。

2022年度の最低賃金の目安が、全国平均で時給961円に決まったというが、実は韓国の最低賃金に追い抜かされている。ちょっと前も日本の「1人当たりのGDP」と「労働生産性」が韓国に追い抜かれてしまったということが大きな話題になったが、現実を直視できない日本人も多い。

これまでは、日本で起きているあらゆる問題は安倍元首相の責任だと主張する、いわゆる「アベガー」と揶揄される人たちがいた。そんな方々が、安倍元首相の死を受けて、日本のあらゆる問題は「社会の分断」が原因だと主張する「分断ガー」ともいうべき人々へとアップデートしているような印象を受ける。

個人的には国葬はやめた方がいいのではないかと思っている。戦後の首相として唯一の例である、吉田茂氏の国葬は実は当時、「無感動な官葬」などと大不評だったからだ。

宗教団体を憎んでいるはずの山上容疑者の頭の中では、なぜか教団よりも安倍氏の方を自分の人生を狂わせた「主犯」として強い殺意を抱いていた。なぜこんな論理の飛躍をするのか。実は今、日本でも山上容疑者のような考え方をする犯罪者が起こす事件が急速に増えている。凶行に及んだ背景と、山上容疑者の飛躍した思考回路を考えれば、これほど典型的なヘイトクライムはない。

自民党の会合で配布された冊子「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT ー家族と社会に関わる諸問題ー」の中にあった記述が炎上している。「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」などだ。1915年にも「病的な愛」という記事を医学博士が寄稿しているように、これは100年以上前の価値観である。

ロシアによるウクライナ侵攻が5カ月目に突入したが、欧米諸国では「支援疲れ」が見えてきたという。長期化による「疲れ」は日本のマスコミにも見て取れ、ウクライナ問題を扱うテンションが露骨に落ちてきている。そんな今こそ、「戦争報道」の検証をして自ら反省してはいかがだろうか。

「なぜ日本の賃金はいつまでも上がらないのか」という議論が活発に行われている。その「答え」がつい先日、これ以上ないほどわかりやすい形で国民に示された。自民党の参院選公約から「最低賃金1000円」という数値目標がしれっと引っ込められたのだ。野党の多くは「1500円」など数値目標を掲げているのに、自民党はサクッと揉み消した。世界的に見ても「賃上げ」しない国は珍しい。なぜ苦しい家計にもかかわらず日本人は受け入れるのか。

20代男性のおよそ7割が配偶者や恋人がおらず、およそ4割にいたっては「デートの経験がない」。内閣府の調査を受けて、マスコミが「若者の恋愛離れ」だと騒いでいるが、こんな話は1980年代から存在していた。つまり、時代関係なく、「若い男性というのはもともとそういうもの」である可能性が高いのだ。なのに、なぜ何度もこの話題は蒸し返されるのか。

栃木県の小学生たちが開発に関わった「さんぽセル」の発売のニュースに大人たちからの批判が殺到しました。批判のコメントをつぶさに観察していくと、日本のイノベーションを阻んでいるものの「正体」がボンヤリと見えてきます。
