
松岡真宏
日本でも、環境や人権に配慮した社会の持続性を念頭に、ESGとSDGsへの注目が集まっている。Googleでの各国別の検索数などから、ESGとSDGsの注目度や考え方を国別に整理するとともに、さらなる企業成長を目指す経営者に向けてESGの考え方を提案する。

世界的ヒット作を生み出してきたNetflixの成長が急減速している。会員数減少や期待外れの決算を受け、Netflixの株価はわずか半年で70%以上下落した。Netflixが苦境に喘ぐ理由を明快に指摘し、諸外国でのサブスクモデルの評価や今後のサブスクモデルのあり方を考える。

企業にとってESG対応は待ったなしだが、それは外食産業も同じだ。先進国ではESG対応を背景に、外食産業において新しい戦略変数が台頭している。同町圧力の強い日本において、外食産業で広がると予想される「エシカル消費」や、新しいバリューチェーンの姿を紹介する。

我が国では1980年代の中曽根政権以降、公益事業の民営化が盛んになったが、現在、民営化の動きにブレーキがかかっており、全く反対の公営化・再公営化さえ進展している。公益事業の再公営化が進展する事態の背景を整理し、国家・個人の嫉妬の存在が経営者のリスクなりつつある現状を解説する。

グローバル大企業は、富や人を吸引し、巨大な社会空間を形成している。これは、さながら「21世紀の荘園」とも呼ばれる存在だ。中世の荘園では、租税を納めない権利があった。現代の荘園たるグローバル大企業が、世界の様々な拠点の税制を駆使して節税にいそしむ姿は、中世の荘園と相似形だ。荘園と化したグローバル大企業が、従業員に提供する現代の「庇護」を例示するとともに、グローバル大企業に対抗する伝統的な日本企業の今後の在り方や、グローバル大企業に内在するリスク、そして新しく生み出された国家の課題を明快に解説する。

惣菜ベンダーの戦略が曲がり角を迎えている。従来はコンビニの成長に寄り添うことで業容を拡大できたが、コンビニの飽和とコロナ禍で、彼らの環境は大きく変化している。薄利ビジネスの典型である惣菜ベンダーが、コンビニ成長の終焉を機に取るべき戦略を、専門家が明快なロジックで解説する。

我が国では、ESG経営やサステナビリティ重視の動きが活発化しているが、その動きは、CO2削減や地球温暖化といった分野のみに過度に傾斜されている。しかし、今後、日本企業は、人権問題、所得格差、森林破壊、ジェンダーの多様性など、この社会を維持・発展させるために必要な取り組み全てを対象に取り組む必要がある。世界的な視野でサステナビリティの動きを紹介するとともに、現在勃興しているサステナビリティ重視の運きの中で、自分を取り巻くステークホルダーやサプライチェーンを対象とした「サステナビリティDD」の可能性を紹介する。

1952年に提唱された現代ポートフォリオ理論(MPT:Modern Portfolio Theory)を機に、個別企業のパフォーマンスであるαを追及する姿勢が続いた。しかし、2021年春に出版された書籍によると、戦後の株価投資の収益率におけるαの増加率は、市場全体のパフォーマンスであるβの増加率の数分の一に過ぎないという。気候変動、民主化を求めた社会混乱、所得格差の拡大、ジェンダー問題といった社会問題が、今後、企業のβ改善の動きを推進する理由や、機関投資家が「社会的使命」を背負う姿勢が強まる理由を解説する。

コロナ禍にもかかわらず、スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESは業績好調が続いている。国内の回転寿司市場は驚異的な成長が続いているが、実は回転寿司の利用者は増えておらず、客単価も伸びていない。この興味深い現象の背景には、特別なユーザーの存在がある。今後もスシローが一人勝ちを続けるために、必要な経営視点を指摘する。

21世紀に入り、ファストファッションやEコマースが台頭した。しかしそれらが成長するとともに、「余剰アパレル」という環境問題が深刻化していることは、日本では知られていない。日本での余剰アパレルの実態を紹介するとともに、日本のアパレル各社が現実から逃げることなく、的確に対応するための考え方を提示する。問題の先送りは、もう許されない。

起業後10年以内で時価総額10億米ドル以上に達した企業をユニコーンと呼ぶ。米国では378のユニコーン企業が存在するが、日本ではわずか6社。このため、日本でも官民挙げてユニコーンが産まれるエコシステムを作るべきだという掛け声が強い。経営コンサルティング会社の代表が、日本でユニコーンが生まれにくい理由を解説し、ユニコーン待望論の盲点を鋭く指摘する。

日本のポピュラーソングJポップは、欧米のコピー曲や、演歌など日本固有の土着音楽でもない。哲学者の言葉を借りれば、Jポップは和風のポピュラーミュージックの実践ではなく、普遍的なポピュラーミュージックへ日本語で取り組む営みと言える。こうした営みは歌謡曲だけでなく、最近では哲学の世界でも広がっている。ただ経営学やビジネス書の世界では、輸入学問や日本独自の考え方に囚われたままだ。日本の経営学が輸入と土着による支配から脱却し、「J経営学」という新しい領域を創設する必要性を指摘する。

ファスト映画とは、映画の画像を無断で編集し、字幕やナレーションで内容を紹介する10分程度の動画を指す。YouTubeなど動画サイトにファスト映画を掲載することは、当然のことながら違法行為で、今年6月にはファスト映画を製作・投稿したとして全国初の逮捕者も出た。ファスト映画が消費者に受け入れられつつある理由を考察し、映画産業がファスト映画と共存するための在り方を語りかける。

EC(Eコマース)が出現したことで、店舗の従業員と消費者が時間と場所を共有するという「同時性」のある関係は、完全に分解された。昭和時代から続く百貨店やスーパーなどは、もはや生き残っていけないのだろうか。小売業界の日本有数のアナリストでもある筆者が、ECが全盛となりつつある消費社会を「非計画消費」というキーワードから整理するとともに、従来型の小売業が生き残るための道を明快に解説する。

ハワイでは有名レストランの予約が取れず、カリフォルニアでは高級レストランが高級大麻を提供し始め、中国やシンガポールでは高級和食(一人5万円以上)の需要が急増するなど、欧米中では高額消費が急増している。世界中の富裕層の消費マグマが少しずつ発露している現状を「ペントアップ需要」というキーワードから整理し、ワクチン接種が進まない日本でもペントアップ需要が生まれるかを大胆に予想する。

日本を代表するアパレル企業のオンワードホールディングス(HD)は、知識賢治氏を取締役にする人事を発表した。知識氏は、自ら企画した子会社リサージの社長に弱冠35歳で就任し、カネボウ化粧品の社長に41歳の若さで抜擢された。その後も同氏は、テイクアンドギヴ・ニーズ、日本交通の社長をそれぞれ務めるなど、プロ経営者の道を歩んでいる。知識氏の取締役人事には、オンワードHD経営陣の深謀遠慮が見える。オンワードのこれまでの歴史を振り返るとともに、構造改革の狙いを解説する。

日本企業の株主優待は、機関投資家から評判が悪い。株主優待は、企業の期間利益を株主の保有比率に応じて分配する配当と異なり、鉄道の乗車券やレストランの食事券などを保有比率と大きく連動させず、株主それぞれに付与することが多いからだ。それよりも、配当をさらに引き上げることのほうが望ましい。しかし、株主優待は本当に時代遅れの制度なのか。株式市場の著名アナリストとしても活躍してきたコンサルタント会社代表が、異論を唱える。

この1年、我々はコロナ禍でコンサート、スポーツ観戦、外食、カラオケ、各種パーティなど様々な「遊び」が制約された。しかしそのことにより、外食の新形態である「イーターテイメント」という新しいサービスが生まれた。イーターテイメントとは、食べる(イート)と娯楽(エンターテイメント)を融合させた造語だ。「立ち食い」からイーターテイメントへ移行した俺の株式会社のケースを紹介すると共に、コロナ禍で見えてきた潜在需要を解説する。

河野太郎・行政改革・規制改革大臣のブログが、M&A関係者や株式市場関係者の間で話題となった。主に中小企業のM&Aにおいて、売り手と買い手の双方から報酬を得る仲介ビジネスは、利益相反問題があると指摘したからだ。この指摘は示唆に富んでいる。経営支援専門会社の共同代表が、ゲーム理論「囚人のジレンマ」を使って、中小企業M&A問題を考える。

企業経営の構造改革のプロセスでは、ダメな事業に目が行きやすい。しかし、赤字事業をてこ入れしても全体の収益は大きく浮上しない。大事なことは、ダメな事業ではなく「ドル箱事業」の復活に経営資源を投入することだ。同じロジックを国全体の政策に当てはめて考えると、中小企業の生産性アップは果たして日本経済の活性化に寄与するだろうか。経営コンサルティング会社代表が、日本経済復活の視点を提示する。
