大崎真澄
スタートアップの資金調達手段としてはベンチャーキャピタルなどの投資家を引受先としたエクイティ調達(株式の発行による資金調達)が主流となっているが、近年はその選択肢が少しずつ広がり始めている。2021年11月創業のSDFキャピタルが新たに立ち上げたのは、スタートアップ向けのデットファンド(借入のかたちで融資を実行するファンド)だ。

上場企業を中心に、ステークホルダーに対してESG情報を開示する動きが高まっている。こうした情報を収集し、開示するまでの業務は社内のサステナビリティ部門などが担うことが多いが、一連のプロセスには膨大な手間と時間がかかり課題が大きい。2019年創業のシェルパ・アンド・カンパニーが手掛ける「SmartESG」は、社内に散らばるESG関連の情報を一元管理することで、全社一体でESG経営に取り組む“スクラムESG経営”を後押しするクラウドサービスだ。

グローバルでWeb3領域のスタートアップやプロジェクトへの投資を目的としたファンドが急速に立ち上がり始めている。国内でも少しずつ動きが活発化してくる中で、新たにWeb3特化ファンドを始動させたのが、ゲーム事業やIP事業などを手がけるアカツキだ。同社は5月11日、25億円規模のファンド「Emoote(エムート)」を立ち上げたことを明らかにした。

営業活動の成否に影響する“営業組織図”の作成を自動化するサービス「ulu(ウル)」の開発に取り組むmoja。同社の代表取締役を務める吉木敬祐氏は新卒でリクルートに入社し営業を経験するものの、当初は成果が出ずに苦戦した経験を持つ。そんな吉木氏にとって転機になったのが営業組織図を作るようになったこと。当時の原体験が現在開発中のプロダクトにも大きく影響しているという。

ドリームインキュベータの100%子会社として、2019年10月より国内スタートアップへの出資を手がけてきたDIMENSION。2021年9月には代表取締役社長の宮宗孝光氏が株式を買い取るかたちでドリームインキュベータから独立し、新たなスタートを切った同社が2号ファンドを設立した。

“法人カード”を起点に、企業の決済業務における課題を解決するスタートアップの勢いが増している。日本でも複数のフィンテック企業がこの市場でサービスを手がけており、その1社であるUPSIDERは2020年9月のサービスローンチから急速に事業規模を拡大。顧客数は1000社を超えた。

建設業に特化した部材調達サービスを手がけるBALLASが約1億円の資金調達を実施した。創業者の木村氏は総合商社の双日出身。同社で金属・資源分野の輸出入や事業投資などに携わったのち、テクノロジーを用いて建設業界の生産性向上を支援するべく2022年2月に企業している。「建設業界版のキャディ」とも言えるサービスの概要や起業の背景について、木村氏に聞いた。

データとAIの力を用いて“道路メンテナンス”の方法を変革することによって、持続的な都市のインフラ管理を支えていく——。そのような挑戦に取り組んでいるのが、2020年創業の東大発スタートアップ・アーバンエックステクノロジーズ(UrbanX)だ。

企業の「セールスイネーブルメント」を後押しするサービスが広がってきている。セールスイネーブルメントとはテクノロジーなどを活用しながら、営業組織や営業人材を強化するメソッドのこと。日本では特に「商談データ」を解析し、企業の営業力強化につなげるサービスがこの1年ほどで増えてきた。

AIによる自動化が遅れる検査・検品業務。産業技術総合研究所生まれの特許技術を用いた独自のAIによって、この領域に変革を起こそうとしているのがアダコテックだ。同社では11億円の資金調達を実施。さらなる事業拡大を見据えている。

テクノロジーやデータを有効活用しながら、社内の営業チームを“売れるチーム”へと変えていく──米国などで「セールスイネーブルメント」と呼ばれ、すでに多くの企業に普及している営業組織の強化メソッドは、同時にスタートアップにとって“大きなビジネスチャンス”にもなっている。セールステックの中の1領域として複数のプレーヤーが参入し、ユニコーンも生まれているような状況だ。

簡易的なECサイトを作ってネットで物を売るのと同じような感覚で、情熱を持った個人が自身のスキルや情報をサービスとして売れる“サービスEC”の「MOSH(モッシュ)」。この仕組みを通じてデジタルコンテンツやサブスクリプションサービスの販売に挑戦する個人が増加している。2022年3月末時点でMOSHを活用するクリエーターは約4万5000人。約2年で9倍に増加した。現在はMOSHを通じてヨガやフィットネス、美容、音楽、料理、キャリア、育児、占いなど200職種以上のサービスが提供されている。

企業のエンジニア獲得競争が過熱している。社内の技術力がプロダクトの優位性にも直結するため、急拡大中のスタートアップから上場後のメガベンチャー、DXに取り組む大企業まで、さまざまな会社がエンジニア採用に多大な予算を投じている状況だ。2016年創業のファインディは、この領域の課題解決に取り組むスタートアップの1社。「GitHub解析によるエンジニアスキルの見える化」をコアの技術として、企業のエンジニア採用やエンジニア組織の生産性向上をサポートしてきた。

かつてSkypeを始めとしたビデオ会議ツールの普及をきっかけに、オンライン上で講師と会話をしながら英語を学ぶ「オンライン英会話」という選択肢が生まれた。若年層を筆頭にオンラインゲームが広く親しまれるようになった現代においては、オンライン英会話の発展形として“オンラインゲームをしながら英会話を学ぶ”時代がくるかもしれない。

国内外で“脱炭素”に向けた取り組みが加速していることに伴い、「Climate Tech(クライメイトテック : 気候テック)」関連のスタートアップが増えてきている。2019年創業のアスエネもこの領域で事業を展開する1社。同社ではCO2排出量の算出をサポートするソフトウェア「アスゼロ」とSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)コンサルティングを組み合わせることで、企業の脱炭素化を後押ししている。

社会保険労務士(社労士)の業務を支援するSaaS「KiteRa Pro」が好調だ──。2019年のローンチから社労士事務所などで活用が進み、2022年2月時点で有料導入社数が800社を超えている。この1年で約500社増えたかたちだ。

「クイックコマース(Qコマース)」と呼ばれる即配ECサービスが日本でも徐々に盛り上がりつつある。2021年6月創業のOniGOもこの領域で事業を展開するスタートアップの1社。東京都内の一部エリアを対象に“10分で食料品や日用品を届ける宅配スーパー”を展開してきたが、年内をめどに東京23区内をカバーすることを目指し、7.2億円を調達した。

コロナ禍で加速した「契約のデジタル化」。特に「クラウドサイン」や「GMOサイン」を始めとした電子契約サービスの台頭により“契約締結”の方法が大きく変わりつつあるが、それに伴って締結前後の契約業務や契約書の管理においてもテクノロジーの活用が進んできている。2016年設立のHubble(ハブル)もこの領域で事業を展開する1社だ。同社が運営する「Hubble」では契約書のバージョン管理機能を軸に、契約業務にまつわるコラボレーションや契約書の管理をサポートしてきた。2019年2月のローンチから3年、現在は約150社・1万人のユーザーを抱える。

事業の拡大期に“テレビCM”を徹底的に科学し、うまく活用することで急成長を遂げたラクスル。そんな同社のテレビCMノウハウを詰め込んでサービス化したのが「ノバセル」だ。当初から「マーケティングの民主化」を掲げてきたノバセルではあったが、今後はテレビCM以外の領域にも本格的に進出していく計画。4月より競合他社のCM分析サービス「ノバセルトレンド」や定量調査サービス「ノビシロ」など複数の新事業を立ち上げる。

新型コロナウイルス感染症の拡大を1つのきっかけに、国内でも急速にリモートワークの導入が進んだ。社員の働く場所が自宅にも拡張されたことで企業が直面したのが、生産性にも関わる「適切なリモートワーク環境の整備」という課題だ。2021年創業のHQではこの課題の解決策として“リモートワーク環境整備プラットフォーム”の「リモートHQ」を展開している。
