そもそも深センというのは、1980年代から共産党と軍が、ある方法で自分たちの権利をお金に換えるための経済実験都市である(詳細は『本当は怖い 中国発イノベーションの正体』に記載)。

それがすなわち
『中国の夢』(泣)!

 杭州で、貧しい家に生まれて起業したアリババのジャック・マーは引退した。

 やはり貧しい家に生まれ、北京の中関村で働いて、不良品や偽物があまりにも多いことに疑問を感じ、偽物なし、配達のすり替え(!)なしを売り物に起業し大成功した京東の劉強東は、先日、アメリカでレイプ容疑をかけられて逮捕された。

 彼には、ミルクティー小姐というニックネームの、高校時代からネットで大評判だった超かわいい奥さんと小さな娘がいるのだが……。女性尊重を日頃主張する私だが、これはハメられたんじゃない?に一票である。

 この件に関する中国のネットの世論誘導も非常に奇妙。すぐ釈放され真偽ははっきりしないが、株はダダ下がりですさまじい額のお金が蒸発し、経営者としての責任は問われるかもしれない。

 現在、すでに京東の最大の株主はテンセントで、ただし議決権はやはり大株主である劉強東が約8割もっている。ただし、そのテンセントも今年の夏に、突然ゲーム規制がかけられ、株価が下がった。

 以前、中国でテンセントの馬化騰や、アリババのジャック・マー、京東の劉強東、他、今をトキメク十数名の若い中国IT長者たちが集まって一卓で食事をしている写真がネットに流れ話題になった。華やかなそのウラで様々な死闘がくりひろげられていたんだろうな……。

 皆、この時代の中国に生まれ合わせ、才を持ち合わせ、死ぬほど働いて、中国人の生活を本当に豊かに変えた企業人たちである。

 幸いにも20年近く中国に暮らし、その過程をつぶさに見てきた。

 特にアリババのジャック・マーと京東の劉強東の2人については、その夢の終着駅がこれか、という思いがある。

「がんばってきたことがすべて一場の夢という感じ。あんまりじゃないか」と中国人の友達に言ったら、

「いや、だからそれがすなわち『中国の夢』だって!」と、ジョークを交えて返された。