『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』の発刊を記念し、2018年12月18日にイベント「孫泰蔵とみんなで描く!つまらなくない未来」(Mistletoeとダイヤモンド社が主催)が都内で開かれた。孫泰蔵氏に加え、キャリアの異なる6人の豪華ゲストと、参加者約100人が集まり、働き方や教育、女性活躍、伝統産業・文化など10に及ぶテーマから、つまらない未来とは何か、そして「つまらなくない未来」をそれぞれがどう描けばいいのかを語りあった。今回は、そのイベントの様子を、全3回に分けてお伝えしよう。前編となる今回のテーマは、「働き方」だ(構成・撮影 小島健志)。
息苦しくもなく予定調和でもない、
「つまらなくない未来」を考えたい
司会 本日は、『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』の刊行に際し、「つまらなくない未来」を一緒に考えようというイベントです。ただし、エストニアやAI(人工知能)、ブロックチェーンのことがわからなくても構いません。申し遅れましたが、司会のミスルトウ(Mistletoe)の神長と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
連続起業家(シリアルアントレプレナー)
世界の大きな課題を解決するスタートアップを育てるため、投資や人材育成、コミュニティー創造などを行うMistletoeを創業。コレクティブ・インパクト・コミュニティー(Collective Impact Community)という新業態を掲げ、現在世界を舞台に活動している。
孫泰蔵 今回、この本の監修を務め、「つまらなくない未来」というタイトルを皆で考えました。この「つまらなくない未来」という言葉には、2つの意味が込められています。
たとえば、AIがシンギュラリティ(技術的特異点)を迎え、人間社会のすべてを支配してしまうという未来が語られています。仮に、AIが牛耳った社会で人間がガチガチに縛られ、息苦しい世の中が実現してしまったら、どうでしょうか。これは「つまらない」ですよね。
また、未来予測というと、ありがちな未来がよく語られています。たとえば、「AIとIoT(モノのインターネット)で人間中心の社会が~」といった話をよく耳にするかもしれません。実際、そうなるのかもしれませんが、どこか予定調和である気がしてなりません。
最近も、国の出したある未来予測の報告書を見たのですが、これがとてもつまらなかった。予測のできるような、ありがちな未来なんて、少なくとも僕はワクワクしないのです。
今回のイベントで、本の中身を紹介するつもりはありません(笑)。それには意図がありまして、まず、皆さんと「つまらなくない未来」を議論してから、自分たちの未来を考えていただきたい、と。その上でこの本を読むと、未来国家エストニアから「ほぉ」と感じられるはずです。もちろん、エストニアが絶対ではないですし、そもそも正解なんてありませんが、1つの「つまらなくない未来」が見えてくるはずです。
司会 今回、参加者の皆さまに対して事前のアンケートを実施して、そこから議論のお題を用意しました。まず、前半では最も関心の高かった2つのテーマを皆さんで議論してまいります。1つ目が「働き方」、2つ目が「教育」についてです。その上で、後半では、8つのテーマを基に議論を進めます。
さて昨今、働き方改革が叫ばれ、20世紀型の働き方ではダメだといわれています。それでは、「つまらなくない未来の働き方とは一体どのようなものでしょうか」。どなたか、どうぞ。