今年3月中旬までの1年間で、ドル円と日経平均株価の相関係数(絶対条件)が、0.375と低い水準にとどまっているのも、株安に対する反応の鈍さがまさに影響している。

 そもそも、米国の利上げによって日本との金利差が拡大する状況にあって、今の円安ドル高基調が大きく崩れる状況は考えにくいというのが、多くの市場参加者の考えだ。

 それが、株安に加えて、日本の現状の経常黒字や物価上昇率といった円高になりやすい要因すらも、時にかき消しているわけだ。

 円高方向への動きが今後も限られるのであれば、円安に向けた大きな変動を期待したいものの、その頼みの綱である米国の利上げは、休止観測まで浮上するほど足元でトーンダウンしているありさまだ。ドル円相場はもはや、深刻な「材料不足」の状態に陥ってしまっているようだ。

 そのため当面、相場の大きな変動は期待できそうにない。小さな変動でも一定の利益を取ろうとして、ついついFXで単発の取引枚数(投資金額)を増やしたくなるかもしれないが、年初の暴落を思えばやはりリスクが大きい。

 自らの資金計画を念頭に、身の丈に合った枚数で取引するよう心掛けてもらいたい。