2014年に投稿されたビデオに映った、過激派組織ISの最高指導者バグダディ氏とされる人物 Photo:Anadolu Agency/gettyimages

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう「WSJ3分解説」。今回は、過激派組織「イスラム国(IS)」の最高指導者が死亡したというニュースを取り上げます。米軍の急襲作戦によって死亡したとドナルド・トランプ米大統領が発表しました。世界中に脅威を与えていた組織のトップがこの世を去ったことになりますが、「これで世界に平和が訪れる」というほど事は単純ではなさそうです。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

過激派組織ISの最高指導者
バグダディ容疑者が死亡で世界に衝撃

「彼は惨めな死に方をした。臆病者として死んでいった」――。

 10月27日、ドナルド・トランプ米大統領はそのような攻撃的な表現を使いながら、米軍の急襲作戦によって過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が死亡したと発表しました。

 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」が、次の記事でそのことを伝えています。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より(1)
>>IS最高指導者バグダディ容疑者の死亡、トランプ氏が発表

 10月28日付のWSJの記事(1)によれば、バグダディ氏は「米軍に追われる中、トンネルの中で自爆ベストを爆発させ、子ども3人を道連れにした」という最期を遂げたようです。そして、トランプ氏は「シチュエーションルーム(危機管理室)で作戦の遂行を見守っていたと明かし、まるで映画を見ているようだったと表現した」といいます。

 また、同記事で「ISは今のところ容疑者死亡の報道を肯定も否定もしていないが、ISの通信をモニターしているイラク人研究者のヒシャム・アルハシミ氏によれば、一部支持者は追悼の意をオンライン上のプラットフォームに投稿している」と報じています。

 今回の一件については、過激な言動で知られるトランプ氏だけでなく、WSJの記事本文や他の政治家の発言にも強い表現が多数見受けられます。次の(2)、(3)の記事から抜粋してみましょう。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より(2)
>>【社説】バグダディ容疑者死亡の教訓

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より(3)
>>IS指導者殺害、トランプ氏の利益は一時的

 例えば、記事(2)では、次のようにWSJが主張を展開しています。

「バグダディ容疑者の死は、残虐な行為に彩られた彼の経歴から判断して、まさに正義を行ったという点で重要だ。そして今回の出来事は、他のジハーディスト(イスラム聖戦主義者)らに対し、彼らが勝利を得ることはなく、バグダディ容疑者と同様にトンネル内で、あるいは爆弾の爆発によって死ぬ運命だと伝えることになった」

 さらに記事(3)では、中東で司令官として米軍を指揮した経験を持つジム・マティス前国防長官の発言として、強烈なコメントを引用しています。

「事実は彼(バグダディ氏)が、われわれに刃向かった男だったということだ。われわれは彼を殺害した。これが現実だ。米軍のすべきことは『お前を地球の果てまで追いかけ、見つけて、殺す』ということだった」

米国の対テロ戦略において重要な勝利
しかしイスラム過激派の脅威は続く

 WSJは記事(2)で、バグダディ氏の死亡について「米国の対テロ戦略の重要な勝利」と報道。また、今回の急襲作戦によって米兵に死者が出なかったことに触れながら、「失敗し犠牲者を出すリスクを必然的に伴うこの急襲作戦を承認したことは、トランプ氏の功績だ」と称賛しました。

 しかし、手放しで喜んでいるわけではなく、「これでイスラム過激派の脅威が終わったわけではない」と警鐘を鳴らしました。そして、記事タイトルの通り、「バグダディ容疑者死亡の教訓」について解説しています。